クルマの前後をよく見てくると、ロープを引っ掛けるフックがついています。クルマが故障した時には、このフックに牽引ロープを引っ掛け、修理工場まで運びます。と思っているでしょう?
じつは、クルマの前後についているフックは牽引する時に使うものではないのです。このフックはクルマを輸送する時に、架台に固定するためのフック。ですから、このフックを牽引用に使うと引きちぎれるおそれがあります。ちなみに、クルマの取扱説明書を読んでみてください。フックは「牽引には使わないでください」と明記されています。
とはいえ、実際に路上でエンコした時には牽引しないわけにはいきません。そして牽引する時にはこのフックを使うしかありません。ですから、やっぱりこれは牽引の時に使うフックなのです。ちなみに、私は何回か牽引したことありますが、フックがちぎれたということはありませんでした。通常走行では多分大丈夫であると判断いたします。
さて、牽引の仕方ですが、まずロープがいります。ロープには種類があり大雑把に分けて伸縮性の有るものと無いものがあります。伸縮性の無いものはワイヤーロープがそれです。価格は安いです。伸縮性の有るものは牽引時のショックが緩和されて大変使いやすいです。ただし価格は高いです。
伸縮性のあるものは牽引中に車間が多少近くなっても、縮むため、路面に接触する事が少なくて済みます。牽引中は被牽引車がロープを踏んでしまう事がよくあるのですが、それと知らずに引っ張るとロープは簡単に切れてしまいます。そういったトラブルが起こりにくいのが伸縮ロープです。
普通乗用車ならば、2~3t位の強度のものを選んであけば安心でしょう。また、長さは余りに短いものは牽引時に緊張と疲労が大きくなります。
クルマは牽引する側よりも、牽引される側の方が色々と注意点が多く、難しいです。クルマはエンジンがかかる場合はかけておきます。かからない場合でもキーをON位置にしておきます。オフにしておくとステアリングロックがかかってしまい牽引できなくなってしまい大変危険です。
被牽引車はブレーキは停止、及び追突防止のときだけかけます。速度調節は牽引車側で行なって貰います。また、エンジンが停止している状態ではパワーアシストが働きませんので、思いのほか踏力がいります。どれくらいの踏み方で止まるかよくテストしておきましょう。ハンドルもパワステがききませんので非常に思います。走り出してから慌てないようにしましょう。走行中は牽引ロープを垂るませないようにします。ロープを踏むと簡単に切れてしまいます。
牽引する側はハザードランプを点灯して周囲に通知しながら走行します。発進は衝撃を少なくゆっくり走り出し、牽引ロープを伸ばし気味にして走行します。
牽引する経路ですが、あまり急なカーブは曲がれなかったりしますので、遠回りしても緩やかに到達できる経路を選びましょう。急な上り坂や下り坂は気を使いますのでできれば避けたいところです。