時速100kmで走るクルマ同士の安全車間距離は100mといわれています。高速道路を走ると左に50m・100mという標識と共に車間距離確認マークが引かれています。これを目で確認し車間距離100mをキープするわけです。
しかし、実際にこの車間距離確認マークを目安に前車と100m離してみると、それが非現実的な数字であることが分かります。東名高速道路や中央高速道路など交通量の多いところで100mの車間距離を取っていたら、すぐさま2~3台のクルマに割り込まれてしまうことでしょう。これではかえって危険というものです。ストレスもたまりますし。
そもそも車間距離とは、万一の時に危険を回避するためのもの。前車がいきなり止まるということもありえませんし、自分とて前車のお尻ばかり見て走っているわけでもありません。かなり遠くを見て安全を確認しながら走っているわけです。そういう風に考えると、時速100kmで走る場合は、50mもあれば大丈夫ということになります。実際ヨーロッパでは時速100kmの適正車間距離は50~60mとなっているそうです。
ではどこからこの100mが出てきたのか?時速100kmで走っている場合、1秒間に進む距離は約28m。人間がブレーキの必要性を感じてブレーキを踏む行動に入るまで約1秒かかります。この間にクルマは28m空走します。そしてブレーキを踏んでから実際に停まるまでの距離が約80m。両方を足すと約108mになるので余裕を見て必要な間隔を100mとしているわけなのです。
ところで、高速道路での適正な車間距離はやはり事故防止には欠かせません。よそ見運転やわき見運転などによる事故防止のため、その適正な車間距離を自動でやってしまおうというハイテクな技術があります。トヨタのプログレに搭載されている「レーダークルーズコントロール」、ニッサンシーマに搭載されている「ブレーキ制御付車間自動制御システム」、ホンダのアヴァンシアに搭載の「インテリジェントハイウェイクルーズコントロール」、1995年から取り組んでいる老舗の三菱ディアマンテに搭載の「プレビューディスタンスコントロール」などがそれ。
いずれもフロントバンパー内に設置されたレーザーレーダーセンサーなどで先行車と走行レーンを認識し、一定の車間距離を保つようにスロットルとシフトをコントロールするものです。先行車が減速して車間距離が縮まるとエンジンとシフトを制御し減速します。より新しい技術ではエンジン制御のみならず、ブレーキ操作するものも現れてきています。この点ではホンダが一歩先んじている感じです。
考えながら二足歩行するホンダのASIMO君も満1歳になったことですし、ドライバーが寝ていてもクルマが自動で運転してくれる日も近いことと思います。