[143]日頃のオコナイ

私の使っているパソコンの日本語変換はかなりアホです。WindowsのIMEなのですが噂によるとこれは日本人が考えたものではないとか。異国人作の日本語

変換ソフトならではの怪しい変換が楽しい。中には意味が違うのではないかと思われる語句も出てきたりします。もっとも、変換を決定するのはパソコンを扱う人ですから、最終的にはその人の教養と責任ということになりますが。

世界的に普及してしまったWindowsとこのIMEのおかげで大企業のPDFフォーマット(adobe社acrobat)の公的文書にまで誤字がまかり通るようになってしまいました。紙の文書では信用問題にまで発展するようなことも、デジタル文書では「IMEを使っているのか。まぁしょうがないか」と苦笑しておしまいという風潮になりつつあります。たとえば・・・

「このような非常自体になり・・・」(誤)⇒事態(正)
「かかる失態につき肝に命じ・・」(誤)⇒銘じ(正)
「このたびはお忙しい中、一同に会し・・・」(誤)⇒一堂に会し(正)
「最大洩らさず」(誤)⇒細大洩らさず(正)

メールや電子文書を仕事で扱う人はパソコンの機能に依存せず、昔ながらの辞書を一冊用意してみましょう。そしてアヤシイと思ったら、まず辞書を繰ってみる。そういった習慣を身につけたいものです。

ここで私が日頃気をつけていることに「おこない」があります。これを変換すると「行い」になると思いますが、私の場合意図して「行ない」を使います。

「行い」の場合は誰しも「おこない」と読みますが「おこなった」と過去形になると「行った」となり「いった」と勘違いする人がいるでしょう。これを防ぐ意味で敢えて「行なった」と書きます。

送り仮名をつける場合「あれ、どうだったかな?」と迷うことが多いですね。そういう時は動詞の語尾を変化させると分かりやすいです。

     混ぜる
     混ざる
     混ぜない

このときに変化する部分「ぜる」「ざる」「ぜない」が送り仮名になります。
この方式に「おこない」を当てはめると

     行なう
     行なわない
     行なった

となり、「な」が変化しません。従って「な」は付けない「行う」が国語的には正しいのです。しかし私は「文章を一読しただけで意味がわかる」ことを目指しているので、私は敢えて「行なう」を使うようにしています。