[037]寿陵

寿陵。これは「じゅりょう」と読みます。寿陵は生前墓ともいい、生きているうちに建てるお墓のことをいいます。通常は自分の墓や夫婦の墓であったりします。生前ですから、まだ納める遺骨がありません。都営や公営の霊園では寿陵は建てられないことがあります。公営のお墓は足りないので、生きている人はご遠慮いただくと、こういうことです。

寿陵はここ数年で急激に増えてきました。その背景には核家族化や墓地不足にあります。核家族化は、個人の墓を増やし、墓地不足は早めに自分の墓を確保しておこうという動きに結びつきます。最近の分譲墓地はお墓を立てることが条件になってたりしますので、必然寿陵が増えるということになります。

寿陵の場合、墓石に書かれる戒名は朱文字でかかれます。寿陵は古くから中国でも行われたおめでたい事とされ、古書にも「寿蔵」、「寿穴」、「寿堂」などとかかれています。古くは秦の始皇帝も建てたとされています。生前戒名を朱色で書くのは、朱色はお祝い事の色とされているからです。

よく生前にお墓を立てたりすると「早死にする」、とか「縁起が悪い」とか言う人がいますが、これは仏教の教えを知らない人が勝手に決めたことです。生前に自分の冥福を祈るというのは、仏教では大変功徳の高い善行とされています。

ということで、寿陵を建てると言うのは仏教の教えにたった、功徳の高い習慣であるといえます。

さてもうすぐお盆ですが、お盆には皆さんお墓参りに行かれますよね。私は自分のお墓以外に他の墓もウォッチングします。よく見ると墓誌にはその家系の歴史が刻まれており、「昭和20年戦没享年19歳などの文字を見つけると襟を正さずにいられません。もしかしたら特攻隊員だったかもしれませんし。