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[01]司会者になるには

第1回

司会者になるには

私は20年間ほとんどの土曜、日曜、祝日には婚礼の司会者として勤めてきた職人です。現在は本当に意味のある披露宴を望む個人の依頼の担当と新人司会者を育てています。

今日は、水曜日のレッスンの日、司会者を目指す若者が3名来ました。一人はラジオのアナウンサーを夢に、何度挑戦しても合格しない23歳のまじめな青年のI君。一人は離婚後、二人の幼い子供を抱え、これから職を身につけ、稼げるようになりたい美人のKさん。

もう一人は私が5年前に担当した思いどおりのオリジナル婚をやりとげた元花嫁M。Mは、私の元で婚礼の現場を学びながら、ブライダルプロデューサーの資格を取りました。今年から私の事務所の名前を代えて、代表として活躍してもらっている頭のいい彼女です。ただし、司会者としての声を作るにはもう少し時間がかかりそうです。声に関して言うとI君は全国レベルのNHKにでも通用するほどのいい声です。司会者としては人間的なまろやかさ、ユーモアを理解できる大人、冗談のひとつでもいえるようになって、ナレーションを覚えたら卒業です。

Kさんはすでにデビューをしていますが、婚礼でもイベントでも度胸があるので、人手が足りないときいざ出動となると。30年間日本舞踊で舞台を踏んだ経験か。身のこなし、きりりとした目つきは最高です。名取裕子さんのトークショーの司会で舞台でのからみあり、当日打ち合わせでも無事にこなしましたが、それでも必ず、新人を派遣するとなにかクレームがあります。多めに見てほしいところですが、そこは次の依頼にかかわるので事務所としては、ひたすら謝るのみ。声が良く通らないとかで、確かにアナウンスの基本はまだ途中でした。

レッスンは皆、同じことをします。アイウエオの口の形を意識しながら、正しい発声、発音。早口言葉。ナレーションを覚える。現場の知識など。私は元アナウンサーでもありませんが、ボイストレーニングという本と出合い、声は必ず変わると信じ基本を欠かさずにつづけてきました。はじめは自分の声が低くて嫌いでした。いまでは、よくお客様にいい声ですねと言われるのが不思議です。

よく司会者養成所などという所がありますがお金をかけて本当に司会者としてデビューしコンスタントに仕事をもらっている司会者がどれ程いるのでしょうか。最後にオーディションがあり、はい不合格ですと言われ、あきらめきれずに、私の事務所に通うHさんもいます。20年間の経験から、若者たちに教えることができるのは、夢をあきらめない事。好きなことのためには努力もできるし、耐えられます。ただし、師匠をまちがってはいけません。

2005.02.14