第19回-もう一つ、七夕様
こんにちは、稲垣尚美です。先週、七夕様の話題を出しましたが、今週も七夕様の話題です。
私は、今年、七夕の係りだったので、休日に職場へ行って七夕の飾りつけをすることにしました。たまたま友人が、遊びに来たので「ボランティアとして一緒に飾りつけをして」と半ば、強引に施設へ一緒に行ってもらいました。
うちの施設は、まだ新しいので外見は、イタリアのホテルのようです。「こんなきれいなところなんだね」と友人は、びっくり。施設の中は、病院に似てます。4人部屋があったり、個室があったり。
中に入って友人が、「おばあさんばかりだね」と驚いたように言いました。「そりゃ、老人ホームだもん、当たり前でしょう」と言うと「おじいさんが、いないよ」そう言われてその奇妙さに気がつきました。
日本の男女比率は、確か若干、男性の方が、多いはず。でも、うちの施設は、圧倒的に女性が多いのです。やはり女性の平均寿命が、高いところに関係あるのでしょうね。男性が、介護が必要になる時期は、まだ配偶者が生きていることが多いので妻が、自宅で介護なのでしょう。しかし、女性が介護が、必要になる頃には、配偶者は、他界してたり、介護能力がなかったりして、施設入所ということになるのではないでしょうか。子ども達のほとんどは、仕事をもっているし。
七夕の飾り付けを終え、友人と帰る車中で友人が、「私の隣で短冊を書いていたおばあさんが、いたでしょう。あれ、なんて書いてあったと思う?」友人の隣で書いていたのは、いつも腰の痛みを嘆いているよしさんでした。「腰の痛みが、治りますようにかな?」「違うの。あの人に会いたいって書いてあっんだよ」「そうなの。あの人ってご主人かな。」「うん、ご主人のことだって。すごいよね。あの年になってもご主人のことを思っていられるって」友人は、信じられない様子でした。
この友人は、大恋愛の末、結婚したのですが、最近、離婚したいともらすようになっていました。性格の不一致ということだそうですが、あれだけ熱々だったカップルだけにその心境の変化にびっくりです。
どんな夫婦もいろいろな歴史を刻んでいくのでしょうけど、最後に「一緒になれてよかった」と思えれば、それが一番幸せなのかもしれません。友人にもそうなってほしいと思いました。
友人が読んだというよしさんの短冊が、読んでみたくてたくさんの短冊からよしさんの短冊を次の出勤の時にさがしてみました。そしたら「あの人に会いたい」じゃなくて「あの人のところへ行きたい」でした。
「あの人」も恋しいのでしょうけど、よしさんは、死を半分願っているのかなと寂しい気持ちになりました。
もっと元気をよしさんにあげなくては・・・・
2002.07.20