第24回-外国の介護
こんにちは、稲垣尚美です。半月ほど前から施設の職員の玄関の外に子猫が、棲みついてます。茶色のぶち猫です。とても人なつっこく、誰の足元にも寄ってきます。ついてきちゃうかなと思うのですが、玄関の中には入ってこず、そして玄関から3m以上離れるとまた元の場所へ戻っていきます。
時々女子職員が、玄関の前に座りこんでいるなと近づくと、子猫を膝に乗せてあやしています。いつのまにか水の容器と餌の容器も置かれ、いつも何かが入っています。
たまに入所者が散歩へ行くと、心の癒しになっているようです。「玄関にいる猫、かわいかったよ」という声が、聞かれます。
高齢者は、女性が多いですね。うちの施設も女性が圧倒的に多いです。男性は、一割程度です。妻が死亡すると、その夫の一割は一年以内に死亡するそうです。そして25%は、3年以内に死亡するそうです。4人に1人の人が、心理的に妻に依存して生きているということでしょうか。
先日、テレビでヨーロッパの介護の紹介をして日本の介護の違いを説明していました。ヨーロッパでは、自立のための介護なのです。1人で生きていくための介護。だから福祉用品にしてもその人のための福祉用品。車椅子でもその人の為の車椅子ですが、既製品のパーツを組み合わせて作ってました。その既製品のパーツを組み合わせてできる車椅子の種類は、80万種類。
うちの施設で車椅子を使っている人は、60人くらいはいますが、その種類といえば、10種類くらいです。ヨーロッパの概念からいけば、60種類あっても不思議は、ないのに。
日本の福祉用品は、介護のための福祉用品。高齢者の自立を支援するものでは、ないようです。
これは、意識の違いからも来ているようです。外国では、本人が、最後まで自立していこうとしています。つまり心理的に自立しているかしていないかということです。
一人で人生に立ち向かえず、その苦境を嘆き、救いを他人に求めるような人がいます。このような人達は、「人が自分のために何かしてくれるのは、当たり前」「自分の都合よくまわりが動いてくれないと許せない」と考える傾向にあります。これは精神的に未熟な子どもが母親に抱く甘えの感情に似ています。
心理的自立大人になるには、「人は人。自分は自分。相手には相手の生き方や価値があるし、自分には自分の生き方や価値感がある」と考えられる人が自立している人であり、自分の人生を楽しむこことができる人なのです。
自立できるように努力していきたいと思います。そしたらもっと世界が広がるんじゃないでしょうか。
2002.08.30