第85回 ヘルパーまでの道のり(9)

2019年3月16日

こんにちは、永礼 盟です。ご購読ありがとうございます。

老人ホームの裏事情2は、私、永礼 盟が勤めている老人ホームで起こっている情景描写が主ですが、想いを描けない時があります。そんな時は、過去に書いた日記を引用します。それが、ヘルパーまでの道のりです。サラリーマンから介護の世界へ行く決心をし、ヘルパー2級を目指していた頃の気持ちを書いた物です。今回も、ヘルパーまでの道のりに、どうかお付き合い下さい。

学校でのスクーリングが終わり、実習に入っている。今日は、同行訪問である。実際のホームヘルパーさんについて、利用者のお宅へお邪魔すると言うものだ。前回、施設実習を受けているので、さほど恐れはなかったが、初のホームヘルプサービスの現場に携わると言うことで、かなり緊張しました。

今日お伺いしたお宅は、複合型のサービスを取られている方で、二時間半の時間の中、買い物、掃除、料理をこなすお手伝いをさせていただきました。まずは買い物から始まります。

買い物リストを見せていただいて、買う物のチェック。冷蔵庫の残りを確認して、必要な物をリストに組み込む。いざ買い物!

移動手段は、チャリンコ。ホームヘルパーには、必要不可欠の道具だ。これが地域密着型。チャリで移動できる範囲を徹底的に回るのだ。買った物は、ブロッコリー、ナス、かぼちゃ、はんぺん、アジの開き、パン、トマト。

買い物から帰ってくると、掃除が待っていた。私は、便所掃除と床拭きをした。その後、料理に入った。

メニューは、
1)トマトの甘煮
2)ブロッコリーの塩ゆで
3)大根おろし
4)アジの開き
5)かぼちゃの煮付け
6)はんぺんの炒め物
7)ナスとピーマンの煮付け
8)にんじんの煮付け

自分は、料理経験ゼロ。一緒について頂いたヘルパーさんに、色々指示されながら、トマトとブロッコリー、大根おろし、かぼちゃの煮付けを手伝った。

ここで、課題が生まれた。自分は料理が出来ないが、少しづつやってみようと思ったのだ。やっていれば必ず出来ると思うし、いずれ結婚するだろう。妻が病気で家事が出来なかったら、代わりに家事をしてあげられるくらい出来ると思う。自分は、家事分担派だ。妻が、全ての家事をやれとは決して言いたくない。洗濯や掃除、料理だって、出来る者がすればいいと思う。仕事じゃなくても、料理を勉強しておくのは損にはならないと感じたのだった。

そう決意した今晩の食事は、外食だが….

時間が迫ってきたので、途中でヘルパーさんに交代した。ヘルパーさんは、料理をしながら色々な話をしてくれた。その人は、上を狙っているそうで、住環境福祉コーディネーターと言う資格を狙っているそうだ。この資格を持っていると、家を介護用に改造するときのアドバイスが出来るそうで、地位もケアマネージャーと同等らしい。ケアマネを取らなくても、ケアプランのアドバイスが出来るし、かなり視野の広い資格だと教わった。

自分も、介護福祉士を狙ってることを伝えた。専門学校に行きながら働くか、三年の実務経験を積んで自力で取るか相談してみた。やっぱり、介護で食っていくなら実力勝負が良いらしい。なぜなら、専門学校に二年通えば介護福祉士は取れてしまうそうなのだ。現場では、そう言う人を『なんちゃって介護福祉士』と呼ぶそうである。

自分は、なんちゃってになりたくないのだ。この世界でなら、知識は共通だ。と言うことは、身につけてしまった者の勝ちな所があると思う。なんちゃってなんて呼ばれないように成長していきたい。自分は、この成長を、大きなテーマに持っていきたい。

人間だから成長する。

現職の社長にも言われたことだし、壁にぶつかり、登り、考え、乗り越えていく。そんな勉強を繰り返していけたらと思っている。冷静に、そんなことを考えたりした。

今日の利用者さんは、とても元気だったので、習った介護技術を使う場面はありませんでした。しかし、どういう形でホームヘルプサービスが行われているか知る事が出来てとても勉強になりました。

こうして同行訪問の実習が終了しましたが、この時の気持ち、壁にぶつかり、登り、考え、乗り越える。今出来てるか?と言われれば、難しいと思います。まさに壁にぶつかっています。人間関係、介護サービスの実態、利用者の不満、家族のクレーム。この壁をどうやって乗り越えて行くかを、過去の日記を読み返しながら悩む自分が居ます。そして、自分の位置を必死に探すのでした。

2004.12.13

永礼盟