【第4回】有料老人ホーム歴史編(4)

2019年3月18日

さて、前回の中堅どころ、サラリーマンでも入れる老人ホームについでである。綾小路きみまろの毒舌漫談のネタになるような平均的なサラリーマンと、みのもんたの番組で「おくさん!あんた・・・・・」とカメラ目線で言われるとうっとりスーパーに走ってしまう

主婦の皆様のための正しい老人ホームの入り方である。まず、普通乗用車をキャッシュで購入できる財力があれば、一時金300万程度、月々12万ぐらいのワンルームマンションみたいな個室の有料老人ホームは存在する。

部屋に自炊の設備もむろんあるが、電磁調理器なんで、てんぷらはあきらめた方がいい。共同食堂が付いているが、ここでの食事は別途費用がかかるので、ご注意。さらに冷凍食品が多いとか、サイクルメニューだとか、文句は言わないこと。喫食時間も当然決まっているし、ごきぶりの発生と食中毒が怖いので、こっそりタッパーに入れて部屋に持ち帰るなんてことは当然できない。みつかったら、職員に静かにきつく注意され、取り上げられるだろう。自分で外のスーパーから買ってきて食べた刺身は何日たって食べてもかまわない。食中毒になるのも、自己責任だから。

いくら、有料でも所詮施設は施設なのであるから、決まりごとはあるのである。確かに、軽い認知症や物を大切にするように育ってきた世代は食べ物を粗末にはしたがらない。それは道理ではあるが、「いつもお世話になっているから。。。」とショウノウ臭いまんじゅうなどをちりがみに包んで押しつけられると、本当に胸が苦しくなる。私が食中毒になったら貴方のせいよと!と思いながら「ありがとう」と作り笑顔で答える職員も慣れたものである。

自分の好きなものや好きな時間にテキトーに食べたいのであれば、老人ホームに入るという考えは捨てた方がいいにちがいない。お風呂は?このレベルの有料老人ホームは、トイレと一緒のユニットバスで、どうにもまたぎができないタイプがほとんどである。おまけに湯の温度をコントロールするのも手動。つまり、5000円程度のビジネスホテルのシングルを想像してみればいいわけである。

北欧の老人ホームの個室タイプで一番狭い部屋を見学したら、やはりトイレとシャワーがひとつになってはいた。が、北欧はお風呂につかるという習慣がないうえに湿度が低いため浴槽は基本はないのが普通。段差もなく、当然温度固定になっているシャワーで、極めて快適であった。

日本の話に戻ると、壁が薄いためお風呂にお湯をためたり、シャワー、トイレを使うと、水音がちゃあんとお隣さんに聞こえる構造になっている。同時にお湯を使うものなら、たちまち、お湯がでにくくなるわけである。

ワンフロア20部屋ぐらいで、当直職員(一様介護職、訪問介護員2級ぐらいは持っている)1名体制である。この手の老人ホームで、個人の居住するスペースで例えばお別れの会(お通夜ともいう)をしたりするのはよした方がいい。
なぜなら建築費をけちっているため、納棺したお体を平らにして昇降できるエレベーターがないのである。

そうそう、安いマンションを購入した際も、エレベーターには注意である。納棺は一階でということになるかどうか、よく検討しておくことが肝心だろう。次回は有料老人ホームの実態について話をすすめていこう。

2005.08.10

辻本ゆめの