[72]差別用語(中)

2018年8月25日

今回はどの言葉が差別用語もしくは出来るだけ使用を避けるべき単語に値するのか紹介していく。前回でも強調したが、差別用語を使用しないためには何が差別用語なのか知る必要がある。俺がここで差別用語を紹介するのは対象となる人々を侮辱するためではない。「差別用語なんて福祉を志すなら使うべきじゃない!」などくだらないモラルや理想論を読者諸兄に訴えたいわけじゃない。無知が故に恥をかく事態を避けて欲しいという想いがあることを理解して欲しい。
差別用語について調べてみたが、あまりにも多くて全部紹介することはできない。そこで福祉に関係する言葉だけでも掲載する事にした。
(1)障害者
身体障害者・・・・カタワ(片輪、片端)、ちんば(跛)、びっこ(跛)、いざり(躄)、不具
ちんば、びっこ、いざりは身体障害者でもどちらかというと足が不自由な人を意味する。カタワは見ての通り、障害者が車椅子に乗る様子を比喩している。ちんばやいざりは前回例にも出した。びっこは某知事が発言して問題になった事がある
知的障害者・・・知恵遅れ、精神薄弱者(精薄)、白痴、愚鈍、魯鈍
2007年に知的障害者の野球大会で優勝旗に「精神薄弱者」と書かれていて問題になった事件もある。法律でも障害者基本法でも精神薄弱者という言葉が知的障害者に取り代わった。その経過を見る限り、精神薄弱者は使用を避けたほうが良いだろう。白痴、愚鈍、魯鈍はいずれも知的障害の程度を白痴から軽度、中度、重度と分けるために導入された。
精神障害者・・・精神異常、気違い(~キチ)、白痴、狂人、狂女
白痴は上の知的障害者とも被るが、主に精神障害者を現す差別用語だ。気違いは「気違い沙汰」や「気違いに刃物」も勿論ダメだ。また「~キチ」などは「~マニア」と言い換えた方がいい。
統合失調症・・・精神分裂病
精神分裂病はその語感や響きから精神障害者への誤解や偏見に繋がると批判され、「統合失調症」に変更された。
心身障害者・・・心障者
身体障害と知的障害を併せ持つ人たちのことを心身障害者と呼ぶが、その略称は禁忌なようだ。身体障害者を略して身障者と呼んでも問題はないのに、心障者はなぜかダメだと言われている。知的障害が絡むと何でも問題が複雑化する好例だ。知的障害が未だに受け入れられていない事が良くわかる。
視覚障害者・・・めくら(盲)、盲人、
めくらは勿論のこと、「盲判を押す」、「盲蛇に怖じず」「群盲象をなでる(一部分を見て全体を決め付けること)」などの慣用句での使用もダメだ。また分別がないことを現す盲目も出来るだけ避けたほうがいいだろう。「~の目は節穴だ」などの言い回しも公共の電波では使えない。
色覚障害、色覚異常・・・色盲、色弱
現在、医師でさえ平気でこの言葉を使っているが、あまり使うべきでないという意見も多い。
非識字者・・・文盲、明盲(あきめくら)
非識字者とは文字が読めない人を指す。実際には視覚障害者を侮辱しているわけではないが、盲の字自体が忌避されているようだ。障害者のカテゴリーではないが、盲の字と関係が深いのでここに載せる事にした。とにかく盲の字がつくものは避けるようにしよう。
聴覚障害者・・・つんぼ(聾)
耳の聞こえない事を指すが、「つんぼ桟敷(仲間はずれ)」なども使用しない方が良いだろう。主に後天的に聴覚障害が出てきた高齢者を意味する事が多い。
発話障害者、ろうあ(聾唖)者、聾者・・・おし(唖)
発話障害者は耳が聞こえない事が原因で話す事に障害があるので、元々は聴覚障害者なのだろうが、福祉界では先天的に耳が聞こえない人々を聾唖者と呼ぶことが多い。
言語障害者、吃音(きつおん)・・・どもり(吃)
某関西のお笑い芸人が番組内で使っていたが、編集されて放送されたことがある。これは日常的によく使う人も多いし、まさかこれが差別用語だとは思わないかもしれない。しかし、すでに公共の電波では使えないのだ。
今回は何が差別用語なのか紹介してきたが、障害者関係が多くまだまだ福祉分野にまたがる差別用語は紹介しきれていない。差別用語を全て紹介するのは至難の業だが、せめて福祉の職場で聞かれる可能性のあるものだけでも紹介したいので残りは来週に紹介しよう。
エル・ドマドール
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