第39回 スウェーデンの人

2018年8月31日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。

施設長から、研修に行った話を聞きました。スウェーデンから講師を招き、その話を聞くと言う物だったそうです。

「およそ2時間の講習だったけど、殆ど爆睡してた。」こうして施設長の話は切り出されました。その殆どを睡眠で過ごした彼の中に、二つだけ、今のホームにとって興味深い事があったそうです。その二つと、スウェーデンと日本の介護の違いを語ってくれました。

まず、日本の企業である我がホーム。同じ施設に、介護度も病状も異なる方が入居されています。自立の方もいれば、介護度5の方もいる。痴呆もあれば、徘徊もある。スウェーデンでは、病状によって施設が違い、同じ状態の方が、グループホームで分けられているのだそうです。

その前提の違いから、講師の話が噛み合わず、自分の疑問を解決できなかったようです。その中で、以下の二つに興味を持ったそうです。

一つは、痴呆対応。痴呆の方に、言葉で投げかけても理解して貰えないと言うこと。じゃ、どうすればいいのか?それは、動きなんだそうです。体で、問いかける事が痴呆対応に必要だと講師は教えてくれたと。

両手を前に出して、言葉で「1、2、3で、その手を上に上げてください。」そう前説し、声かけを「1、2、」で止める。そうすると、反射的に手を上げてしまう。この具体例を頭に置き、痴呆対応すると言うこと。施設長は、目を輝かせて語っていました。

私は、中学生の頃に「膝って10回言って。」「膝」「膝」~そうやって、膝を10回言わせてから、「じゃ、ここは?」そう言って肘をさすと、「膝」と言ってしまうゲームを思い出しました。

行動の一つの例として言われたことは、その方が潜在意識の中にある物に語りかける事。もしも、自分が誰だか解らなくなっている方がいるとします。その方の名前を語りかける。何度も、語る。潜在意識の中に、自分は「美子」と言う名であると言う事が残っていれば、語りかけることによって、その時の行動を認識すると言うことでした。

体で対応か...

自分が思うことは、理屈ではないと言うこと。この話を聞いて、頭でっかちにならないことを心に決めました。

二つ目は、入居者のトラブルについて。職員に対する暴力。入居者同士の暴力。言い争い等。

私の会社では、入居者を否定する発言をしてはいけないと教えられます。「駄目」と発言することはNGなのです。否定されると、不穏になるというのが理由です。

実際に、我がホームでも入居者の暴力があります。職員に対する物が殆どですが、最近では入居者同士の暴力が問題になっています。

我がホームの実例としては、徘徊する人に対し、制裁を加えてやると言う理由で、入居者同士の暴力が起こっています。相手を殴る、蹴るの暴力を働いている方にも、その方の病状があり、仲裁に入るときは、こっちも声を張り上げてしまったりします。常日頃、こういう場合はどんな対応をした良いのか疑問に思っていました。

スウェーデンの教えに学べば、これは駄目出しOKだそうです。しかし、上から下へ命令するような言い方はNG。その行動は、間違えである事を解って貰うことを目的とし、話を進める

注意点は、相手の目をしっかり見ること。その話は、自分にされているんだと言うことを目でわかって貰うのだそうです。

施設長から語られる講師の話を、実際のケアに結びつけようとすると、不自然な事も生まれてきそうですが、「なるほど」と思うことも多々あった気がします。

特に、入居者同士のトラブルについては、参考になったところが多かったです。しかし、実際に行えるか?と言われたら難しいことで、その瞬間は体で動いてしまい、後で自分の行動の反省をする毎日。

こんな教えが、徐々に行動にでれば良いことを願って、今日も仕事に取り組む自分がいるのでした。

2003.12.08

永礼盟