第63回 派閥~その1~

2018年10月25日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。今年の五月は雨が多いですね。一年で一番ビールの美味しい季節です。五月の風に吹かれながら、ビールを飲んでいます。

我がホームが落ち着いて来ている事は、常々書いてきました。落ち着いた光景が毎日続くと、それが当たり前になります。最近あまり感じていなかったのですが、改めて再確認させられる出来事がありました。

違うホームからの研修を迎えたのです。現在落ち着きがないホームとレッテルを張られているので、介護度が重いのにも関わらず、落ち着いているホームを見学して来いと言う辞令のようです。

以前は、我がホームが落ち着きがないとレッテルを張られていたのに、今は研修生を迎えるまでになりました。

『落ち着かないホーム』とは、一体どんなことを言うのでしょうか?

研修に来ていた職員に、何が落ち着きがないのか尋ねた所、問題は『派閥』なんだと教えてくれました。有料老人ホームの暖かさを貫かせる会社側と、介護職初心者、特養や老健等の施設出身のベテラン、どっち付かず中途半端な輩。そんなスタッフ間が不穏の原因だと聞き、それぞれホームの抱える問題も色々なんだと痛感しました。

介護度はさほど重くないそうですが、そのスタッフ間の悪さ、全く違う多方向のベクトルの向きが雰囲気を悪くしている。これは、かなり難しい問題ですよね。まず、ベクトルの向きを一つにしぼらないと派閥が出来て、下の人間がついて来れなくなってしまいますものね。

その状況を打破するために、色々な策がとられているようですが、一度出来た派閥を元に戻す事は、なかなか骨だと思われ、その中心となって動いて行くスタッフを研修に出したようです。

研修って言っても、自分も経験しましたが、他のホームへ行って業務をこなすだけなんですよ。自分のホームと、他のホームで業務をこなす事によって、何が違うのかを感じろという事だと思うのですが、利用者が違えば規模も違いますからね。何を勉強したら良いのか戸惑う表情を見ると、当時の自分を思い出しました。

しかし、他のホームを見ると言う事は勉強になります。それは間違えのない事です。知識と言う事ではなく、視野や深みが広がる?言葉にすると難しいのですが、自分のホームに帰って同じ事をするのでも、色々なケースを想定して仕事をする事が出来るようになったのが、自分の経験でした。

物事を正面だけからではなく、横や後ろを想像して仕事をするようになりました。そこに自分の勉強があった気がします。頭でっかちになるのでなく、想像力がついたと。

自分にとってはとても悔しい経験でしたが、おかげで想像力がつきました。今、我がホームに来ている研修生が何を思い、何を感じているかを想像しながら一緒に業務をこなす自分がいました。

2004.06.15

永礼盟