[207]東莞への旅 その1

 クライアントとともに OEM生産の交渉に広東省の東莞とベトナム南部のドンナイに行って来ました。訪問相手は韓国のメーカーですが、両国に生産基地を持っていることから工場を見せていただくことになったのです。このメーカー探しの経緯は2006年 8月30日号「またもや運命の出会い」で書いたとおりです。その後も韓国、台湾、香港など 70-80社のデータと比較しましたがこのメーカーほどクライアントにぴったりの所はありませんでした。
 私たちはまず香港へ。久しぶりの香港ですが、ビジネスパートナーを訪問する時間的余裕がありませんので、予めおわびのメールを入れておきました。黙って行けば何ともないと思われる方もあるでしょうが、出張のスケジュールや現地での連絡先をいつも知らせてきた事も信頼関係につながっています。また、私は「まさか」と思う場所で知人に出会う事が非常に多いのでその時あわてないための予防策でもあります。ビジネスパートナーは「いつでも会えるのだから気にしなくてもいいよ。楽しい旅であり、良い成果が出ますように。気をつけて。」と言ってくれました。
 まずは香港へ。空港からはエアポートエクスプレスに乗り九龍駅へ。九龍駅からタクシーでHung Hom駅へ、ここから広州行きへの列車に乗ります。私たちの降りる東莞は深センと広州の間にある工業都市です。駅まで出迎えてくれるというので列車の到着時間を知らせるために香港側からメーカーの担当者に電話をしたところ不在で、折り返し先方から私の携帯に電話がかかってきたのはまさに香港から本土へ出ようとする長いトンネルを通過した後でした。
 クライアントとの出張のスケジュール設定や航空券やホテルの手配というのも私の仕事の一部ですが、いつも楽しみなのがホテル選び。いかに良いホテルを格安の価格で予約できるかも腕の見せどころです。今回は5つ星のリゾートホテルです。朝食付きで 6,200円とは何か問題があるのでは?と思わせる安さです。
 周辺は別荘地として開発されたのか華やかな色合いの低層のマンション群が建ち並びます。中華風の飾りがあでやかな庭園をくぐりぬけ正面玄関へ。ロビーには2階に届こうとする巨大な花瓶が飾られています。あちこちに置かれた植木鉢は昔の火鉢のような絵柄のついた焼物です。中秋のお祝シーズンのせいか、ロビーに出店があり、チャイナドレスの女性がきらびやかな包装の月餅を売っていました。シースルーのエレベーターからは近くの丘の上に巨大な仏像(高崎観音を思い出しました)、丘のふもとには巨大なほてい様が見えます。人工的ながらもいかにも中国らしく、そして何となくありがたい風景です。
 客室階のエレベーターホールは白とこげ茶で統一されており一転してシックなたたずまいを見せます。カードをかざして開けるタイプのドアで、部屋の中もピローやリネン類に中華風のモチーフが使われています。椅子も中華風でクッションがなく木のままでかえって斬新な感じがしました。いずれも白とこげ茶に統一されておりとても落ち着いた雰囲気です。女性にとっては気になるアメニティ・グッズですが、シャンプーとリンス、石けんの品質がすばらしく、使わなかったものを日本に持ち帰ったくらいです。ティーバッグも緑茶、紅茶、ウーロン茶、ジャスミン茶と各種取り揃えているあたりもさすが 5つ星です。出張中はホテルが自分の家ですから、快適なホテルは良い仕事の源ともいえます。(続きは次週でお楽しみください。)
河口容子