12月14日号「シンガポール企業にとっての日本」で触れたビジネス・ネットワーキング・パーティですが、後日感じたことを書かせていただきます。
もともとシンガポール大使館の依頼により来日するファッション関連 5-6社にアドバイスをしてほしいと依頼されていた私の手元には各企業の会社案内、商品カタログがすべて事前に届いていました。また、私の英文会社案内も大使館経由シンガポール側に送られ、出席に対する確認とお礼まで事前にいただいていました。このおかげで、初対面でもお互い余計な詮索なしにビジネスの可能性について話すことができました。また、シンガポール側の世話役も責任を持って全員を紹介してくれました。
このパーティの出席者は50人ほどですが、双方の主催者からそれぞれの招待客がコールされ、呼ばれた人はその場で手をあげて挨拶をします。日本側の主催者は自分の招待した人の名を読み上げ「あと○○様のご紹介で来られた方が数名いらっしゃいますが、私は直接面識がありません。」と言ったのです。単に正直な発言とも取れますが、自分は面識がないので何があっても私は責任を取りませんよ、という風にも聞こえます。あるいはその○○様が勝手に当日知人を連れて来たことに腹をたてていたのかも知れません。○○様が人数が多いほうが良かれと判断して知人を誘ったか、知人が聞きつけてお相伴に預かろうとついてきたことも推測されますが、どんな事情にせよ予め主催者の了解を得るのがマナーでしょう。
案の定、日本側のゲストはほとんど日本人同士でかたまってシンガポール人と談笑する姿はあまり見かけませんでした。英語を話さない方が多かったからかも知れませんが、こういう場合はバイリンガルの主催者がどんどん話の仲介をすべきだと思います。でないと、ビジネス・ネットワーキング・パーティの意味がありません。お互いビジネスマン同士なのですから、パートナーにまではなれなくても名刺交換に終わらず情報交換くらいしたいはずです。
数日後、私はシンガポールのレストラン・チェーンのオーナーにメールを出してみました。私は門外漢なのですが、シンガポール側の世話役が紹介してくれ、彼は美しい会社案内もくれました。パーティには外食ビジネス関係者が半数位いましたので、私はてっきり何らかの良い感触がつかめたのではないかと想像しており、その結果を確認したいという気持ちもありました。「パーティは大変すばらしく、多くの人々に出会えたことをうれしく思っていますが、真のビジネス・パートナーにはめぐり合えませんでした。あなたのように共感できる部分を持つ方に良いビジネス・パートナーを探していただければと思います。」という意外な返事をもらいました。彼と話したのは 5分以下。それもお世辞やその場しのぎのお愛想を言える性格ではないので、「私は外食産業の専門家ではありませんが、お手伝い出来る事はこれとこれ」というような率直な話をさせていただいただけです。
日本人はどうも町場の異業種交換会にいたるまで出席したかどうかに意義を見出しがちで、成果をあまり振り返ることのないただの宴会好きの人が多い気がします。物見遊山や義理で渋々そういったイベントに参加される方も多いでしょうが、真剣にビジネス・チャンスを求めている参加者、特に海外から来られ方々には誠意と敬意を持って接することが大切だと思います。
河口容子