2008年 1月31日号「パリの日本人」でご紹介したコンサルタントの Nさんが日本にやって来ました。今年の春から中国でのブランド・ビジネスやフランチャイズ・ビジネスのプロジェクトの支援をお願いしており、 Nさんのビジネスパートナーのフランス女性 Aさんも別の用で来日中、一緒に会うことになりました。 Aさんはヨーロッパの高級ブランドのプロモーションのコーディネーターで時には日本文化の紹介をフランスで行っています。
私が指定した場所は私の日本のクライアントの渋谷のショールームです。健康や癒しをテーマとした雑貨のメーカーで海外の市場開拓をしている最中でついでに感想を聞いてみたいと思いました。彼らにとってもビジネスのネタがひとつでもふえればうれしいに違いありません。
買ったばかりのフランス人デザイナーによる帽子をかぶって行き、彼らを喜ばせてあげようと思っていたところ、台風で朝からバケツをひっくり返したような雨。帽子どころか長傘に夏用のロングブーツで出かけましたが、日頃の行いが良いのかミーティング前には見事に晴れあがりました。ブランド・ビジネスの専門家とあって Aさんの事をちょっと気取った「デキル女」風の方かなと想像していましたが、13歳のお嬢さんを持つ実に優しくてつつましやかな女性でした。
国際ビジネスは環境適応力や語学力、感受性、忍耐を必要とするので女性のほうが向いていると思います。国際ビジネスというのは何よりも経験を積むことが必要ですが、残念ながら日本の女性にはまだまだそういうチャンスがありません。2007年 3月15日号「アジアを狙うオペラ・ビジネス」で紹介させていただいた国際的な音楽コーディネーターたちも日本と香港の女性でしたが、 Aさんといい、文化的な国際ビジネスはまさに女性の活躍の場です。
その昔、ヨーロッパ人は夏や 1月くらいバカンスでお休みと言われていたものですが、20年くらい前から変わっている気がします。これも国際化の波でしょう。社員は交替で休みを取り、会社としては 7月だろう と8月だろうとちゃんと営業しています。ところが、日本はバブルの頃、欧米から「働き過ぎ」と欧米に揶揄され、やたらと休みが増えました。帰りの「ちょっと一杯」も含めると外にいる時間が長いため外国人には「働き過ぎ」に見えたのかも知れませんが、実は仕事の効率がひどく悪い風土なのです。これを改めずして、休みをふやせば日本が没落するに違いないと当時思いましたが、まさに予想的中です。
どこの国でも「勤勉は美徳」で「悪」ではありません。香港のビジネス・パートナーたちは香港や中国本土が長期休暇期間に入ると日本やベトナム、タイなどへ競って出張に出て行きます。私自身は 365日仕事をしていますが10数時間働く日もあれば数時間だけの日もあります。通勤時間がいらない上に、だらだらと続く社内会議はないし、読んでももらえない報告書を書くこともない、決裁を待つ必要もないので何人分もの仕事をすることができます。上述のパリからのお客様とのミーティングでは中国以外にも2つ新しいプロジェクトが立ち上がりました。彼らも私と同じ「一人企業」ですので、良いお土産を差し上げることができ嬉しく思うと同時に私にもヨーロッパとの太いつながりができました。これも勤勉の賜物です。
河口容子