中国ビジネスの 5ケ条が「あせらず」「あわてず」「あきらめず」「あてにせず」「あなどらず」というのだそうです。これは中国のみならず、異文化コミュニケーションと必要とする国際ビジネスすべてにあてはまると私は思います。
日本人は「バスに乗り遅れるな」とばかり、あせって、あわてて海外に飛び出して行きます。いわばアウェイ戦ですから、相手を十分に調査、研究して体調も整えてから出ていかなれければ良い試合ができないのと同じで、輸出にせよ輸入にせよ、客観的な情報収集や自分の目で見ての確認が必要です。また、国内ビジネスとは違ったリスクも抱えることになるので、それに見合った自社の体力なり人材を備えておくことも大切です。国内の市場の低迷で市場を海外に求めざるを得ないという企業もあるでしょうが、海外に出れば他国の競争相手もいるわけで自社の国際競争力を見極めなければなりません。コストダウンや新規商材探しのための輸入にしても、初回の輸入からいきなり成功することもまずないと思います。準備や計画なくして始めるのは危険です。
[091]幸福な人生であるために
先日、米国の知人 D氏からメールをもらいました。彼はまだ52-3才ですが、山岳地帯移り住み、担当業務をかなり減らしてもらい、徐々にハッピイ・リタイアメントの備えをしたいという知らせです。現職は米国北西部に本社を置く上場企業の管理部門担当の副社長で、前職は米国のグローバル企業で社内弁護士をしていました。 D氏は手ごわい取引相手でもありましたが、英語で契約の交渉をする、関税法の話をする、あるいは知的ビジネスパーソンの英語の恩師みたいな存在でもあります。また、原宿や鎌倉に連れて行ってあげたり、米国ではオフィスやお気に入りのレストランに行ってもらったりと楽しい思い出がたくさんあります。完全なる引退ではありませんが、日本ではビジネス社会の地位があればあるほどポストにしがみつく傾向があるのに比べ、一種の潔さをしみじみと感じました。
振り返れば、何年か前、上記グローバル企業の役員たちのうちのひとり N氏も50代半ばを目前にハワイにコンドミニアムを1棟(建物まるごとという意味です)購入してリタイア、もうひとりのW氏も同年代でハワイのコーヒー農園を買い農園主として新しい人生をスタートしたのを思い出しました。彼らはリストラされたわけではありません。また、生まれついての富豪でもありません。 N氏など農業地帯のハイスクールの分校を出、陸軍主計学校から公認会計士の資格を取得しています。ベトナム戦争にも行きました。W氏とは戦友です。
N氏と W氏については日本にも駐在をしていたので暮らしぶりをよく知っていますが、それぞれ自分のライフ・スタイルをきちんと守っていました。 N氏は朝 5時に起きてジョギングをしてから 8時ごろ出社し、残業も遅くまで元気にします。 W氏も朝は早いものの、家族重視の生活で夜一切外食はしませんでした。もちろん接待も受けません。見ていて感じたのは個々の幸福観とライフ・プランをしっかりと持ち、毎日毎日きちんと積み上げていたのだろうということです。