昨年11月 6日号で「CEPAで甦るか香港」というエッセイを書かせていただきました。今月、香港貿易発展局が帝国ホテルで開催したセミナー「CEPA(経済貿易緊密化協定):香港に学ぶ中国ビジネス成功の方程式」には定員 300名のところ、600名を越す受講応募がありました。年度末という時期にも拘らず、これだけの受講者を集められるのも、ビジネスパーソンの中国ビジネスへの熱気が強まっていることを示しています。ちなみにCEPAは日本人は「セパ」と呼んでおりますが英語では「シーパ」となります。
本土返還後、上海の勃興(歴史的には復活かも知れません)ともに凋落したかに見えた香港経済も、今月大手市場調査会社が、香港の消費者マインドは 1997年の返還前の水準にまで回復したと発表しました。前にも触れましたが、本土からの旅行者に対するビザ申請手続きの簡素化、広東省の一部都市住民に香港への個人旅行ビザ申請が解禁されたことにより、本土からの旅行者が大幅に増加しています。また 1月から発効したCEPAにより、本土からの出張者も急増、SARSに苦しめられた昨年が嘘のようです。不動産価格の上昇や輸出も好調なことから、 CEPAを活用したグレーター香港(香港と広東省、いわゆる珠江デルタをさします)を目指しています。
[077]外国人留学生
報道によれば、昨年 1年間に摘発された外国人刑法犯のうち、「留学」や「就学」の在留資格者は 5年前に比べ 2.6倍になったそうです。そのうち国籍別では中国人が 8割を超えるといいます。犯罪者が留学や就学を装って入国してくると勘違いされる方もあるでしょうが、日本の入国管理というのはそんなに甘いものではありません。また、ここ 5年の中国の成長の著しさや日中の交流の増加を考えると在留外国人のうち中国人の比率が高まるのも不思議ではありません。以前は日本企業における「外国人スタッフ」というと欧米人を連想しがちでしたが、今はアジア人のほうが多いような気もします。
昨年、たまたま視たテレビでは、農村に住む一家が長男をなけなしのお金をはたいて日本へ日本語を学ぶために留学させるというドキュメンタリーをやっていました。日本語が話せれば中国で高い賃金を得られるからです。青年は時には家族の期待という重圧につぶされそうになりながら、清貧に勉強していました。そこで、私が感じた素朴な疑問は中国には立派な外国語大学がたくさんありながら、なぜこんなに物価の高い日本に来てまで日本語を学ばなければならないのか、ということです。広州で日本語を学ぶ青年と会ったことがありますが、彼は日本に来たことがないにもかかわらず、ほとんど完璧なまでの美しい日本語を話せました。