私が貿易に携わってもう28年になります。会社員を辞めた後も貿易コンサルタントの仕事を選んだのは自分の強みとして「外国人と仲良く仕事ができる」というのがあったからです。外国人と話をするのは大好きで、なぜなら私は異文化に興味があり、彼らもまた「異質」を理解しようとするからです。
Understandというのは理解をするという意味ですが、あなたの言うことや立場は理解できる、というだけで自分が心から賛同するという意味は含まれてはいません。自分とはまったく同じでなくても相手の存在を認める、そしてビジネスにおいてはその違いを良い方向に生かそうという頭が次に働き始めます。
ところが、日本の場合は異質な人、違う意見を持つ人は仲間はずれにされる傾向があります。ムラ社会、大家族主義の伝統や戦後民主主義のはき違えで何でも多数決あるいは全員一致主義から来るのかも知れませんが、力で他人の意見を押さえつけようとする人、反論する人をなじる人、あるいは人の顔をうかがって黙って得になりそうな方につく人、最悪は何も考えないで支配されているだけの人が結構います。
[075]セキュリティ
先週はアセアン各国の在日大使や日本の在アセアン大使、各国貿易機関のトップが一同に会するパーティが銀座のホテルで開催されました。小ぢんまりとした高級ホテルですが、1階の玄関から2階のクローク、 3階の会場とノーチェック。パーティが始まる前までは受付で招待状と名刺のチェックが行われていましたが、会が始まったとたん事務局もほとんど不在の状態でした。招待客である知人が私に紹介するために人を呼んでくれていたのですが、彼女は招待客でないにも拘らず自然に会場に押し込まれてしまったとのことです。
もともと「関係者」の内輪のパーティということもあり名札もなしですが、貿易、投資、観光と出席者のジャンルはまちまちでお互いに顔見知りとは限りません。会場は一事は立錐の余地もなく、料理のありかさえ見えないくらい盛況でしたが、ご時世がご時世だけにセキュリティ上少し不安でした。アセアン諸国には世界一のイスラム教徒数を誇るインドネシアをはじめ、マレーシア、ブルネイとイスラム教国が少なからずありますし、またイスラム過激派の活動しているエリアでもあります。日本を入れて11ケ国集まっていますから、お互いにどこかの国の人と思えばテロリストが混じっていても気がつかないはずで、「テロ対象国」と言われながら、やはりどこか平和ボケののぞく日本です。