[035]アルザス地方 ミュルーズ その1

アルザス地方にあるMulhouseという町がミュルーズと発音するとは全く知らず、駅で「マルハウス、マルハウス」と連呼し切符を買おうとする私を不可思議な顔で駅員が見た。「マダム、どこへ行きたいのか書いて下さい」と言うのでMulhouseと書いたらニヤニヤながら「ミュルーズですよ」と教えられた。3年もフランスに住んでいて恥ずかしい。
牧歌的な地方、フランシュ・コンテとドイツに挟まれた工業都市であり、アルザス地方の玄関とでも呼びましょうか、ここまで来ると切妻と木骨建築でバルコニーが花で埋もれる家屋が目立ちます。アルザス語でミュルーズとは水車小屋を意味するらしく昔はたくさんあったのでしょうが、19世紀の産業革命の恩恵を受け育った町らしくかなりリッチな様子が伺えます。
駅にはロッカーがなく観光局で尋ねてもテロ事件を警戒してどこにも設置してないと言う。もっともらしいとは思うものの、半日観光なんて言わず荷物を解いて 1泊してこの町に観光収益を落してと言いたいのかなとも思いました。駅構内にはレンタルサイクル屋があるのでチャリでミュルーズ巡りも楽しいかもしれません。


ここで私が今回訪れた博物館のうち1軒は「染色博物館」です。道の途中に18世紀建築のSociete Industrielle(工業会議所)がありこれがまた見事な建物です。夜になるとライトアップされるようです。やはり1泊してその姿を見るべきだったかなと今ながら後悔。
博物館ではインド更紗に端を発しこの町で繁栄したプリント柄記事の歴史資料館のようなものです。ファッションに興味ある人は必見。フランスはモードの発信地だけどその歴史をたどると本当に古いというか昨日、今日ファッショナブルになったのではないと良く判ります。日本にも「ああ野麦峠」のような女工哀史がありますが、ミュルーズのプリント業界もそう。産業革命で機械に青春時代を奪われ若くして死んでいった女工さんの名簿に心がズシーンと来た。
初期のプリント柄がどのように作られたのか当時の巨大な機械の展示とオーディオガイド(仏、独、英語のみ)で観覧。ガイドなしに見ても興味深いものです。織物技術となると絹の町、リヨンも有名です。モードに関心があるならミュルーズとリヨンとパリの観光がお勧めです。この博物館では来年2月9日まで「ガーデン」をテーマとしたプリント柄の特別展公開中。アルザス地方へ寄るのならぜひ、ミュルーズへ、この「アルザス染色博物館」へ足を伸ばしてみては?
ミュルーズ観光局: http://www.ville-mulhouse.fr染色博物館: http://www.musee-impression.com
夢路とみこ