[027]労働条件の不利益変更

2012年10月12日

 

理由も無く賃金が下がった
退職金規定が廃止になった
定年が60歳から55歳に引き下げられた
労働時間を短縮し社会保険から脱退させられた
通勤交通費のガソリン代支給額がキロあたり20円だったのが10円になった
ユニフォームが貸与されていたが不景気を理由に自前になった
50%引きだった食事割引が30%引きになった
 
以上は、いずれも労働条件の不利益変更にあたり、承諾する必要はありません。(現実には難しいと思いますが・・・)
 
これらはいずれも就業規則に記載されるべき事柄ですが、それらを変更する場合は労働者にとって不利益にならないようにする、というのが労働基準法の主旨です。つまり労働者が既得している権利は侵害してはいけないというものです。
 
では不利益変更が認められないのかというとそうではなく、認められるがそれは合理的な理由がなければならないとするものです。(最高裁判例:昭和43年12月25日)
 
合理的判断として最高裁が掲げるのは以下のとおりです。
 
変更によって被る従業員の不利益の程度
(不利益であっても軽微であれば問題ないとされるものです)
 
変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
(定年の引き下げがあっても、退職金で配慮されていれば問題ないとされるものです)
 
変更の経営上の必要性
(変更しなければ経営状態に重大な悪化を及ぼす場合など)
 
労働組合・労働者との交渉の経過
(変更にあたって労使交渉があったかどうかを重視しています)
 
企業の経費削減策として、これらは労働者にとって目前の問題となっています。納得できない労働条件の変更には応じない強い意思が必要です。
 
またここからは私見ですが、福利厚生費を削減するのはリストラにならないと私は声を大きくして言いたい。労働条件を圧迫すれば必ず士気が低下します。これからは人の能力がモノを言う時代です。労務費、福利厚生費を削減すれば必ずやめるやめないの問題に発展し、仕事どころではありません。電気ガス代を節約するのとはワケが違います。経営者はそこのところ間違えないように願ってやみません。