[066]新裁量労働制
平成12年4月1日より、従来の裁量労働制にとは別に新たに裁量労働制を採用できる業務が増えました。その新たな業務とは、
【事業運営上の重要な決定が行われる事業場における「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務」であって、その遂行の手段や時間配分の決定等に関し、使用者が具体的指示をしないもの】
とあります。つまり、これによりいわゆる本社機能を持つ事業場におけるホワイトカラーにも裁量労働制が適用できるようになりました。
ただし、職場においてこれらを裁量労働制としての対象とするには、労使委員会を設立し、次の事項について全員一致の決議が必要で、かつ決議は労働基準監督署長への提出が必要です。
- 対象業務
- 対象労働者
- みなし労働時間
- 労働時間の状況に応じた対象労働者の健康や福祉確保の為の措置
- 対象労働者からの苦情処理に関する措置
- 労働者の同意の取得、不同意者の不利益取扱いの禁止
- 命令で定める事項
また、労使委員会は次の要件を満たしていなければなりません。
- 委員の半数は、労働者の過半数が所属する労働組合または労働者の過半数を代表する者により任期を定めて指名され、かつ、労働者の過半数の新任を得ていること
- 委員会の設置については労働基準監督署長への届出がしてあること
- 委員会議事録の作成、保存、労働者への周知がなされていること
- 命令で定める要件
裁量労働制は、どちらかというと使用者側に有利な条件であり、労働者保護の立場を取る労働基準法からすれば取り扱いが難しい項目です。というのも、労働時間を管理できるにもかかわらずみなし時間制にし、また指定業務の拡大は長時間労働の実態を覆い隠し不払い残業を合法化する危険性をはらんでいるからです。
ちなみに、ホワイトカラーとは事務職、販売職などの製造に直接かかわらない労働者をさしていう言い方です。これに対してブルーカラーとは現場で直接、製造の作業にかかわる労働者を言います。ホワイトカラーは欧米の職場において事務所で働く人が白い襟(カラー=Collar)のワイシャツを着ていたことから生まれた言葉です。