[166]テレワーク
最近「テレワーク」なる言葉が多く耳にするようになって来ました。社団法人日本テレワーク協会によればテレワークとは「情報通信技術(IT)を利用した場所・時間にとらわれない働き方」と定義しているようです。つまり遠くにいても仕事ができる、ということでしょう。
IT技術の発達により携帯電話やインターネットに接続できるパソコンを使えば、職場にいなくても仕事ができるようになりました。IT端末用いて外回りを中心にしている人は、いわゆる直行直帰状態でも同じ仕事ができますし、主婦や身体障害者も通勤無しで仕事ができるようになります。あらゆる人が同じ条件で働くことができるテレワークはもしかしたらこれからの主流になるかもしれません。
しかし、そこで問題となるのが労働関連諸法との兼ね合いです。労働基準法に代表される労働諸法は「自宅から職場に通って職場で仕事をする」ことを前提に制定された法律ですから、職場に来ない場合は労働を監督することは不可能ですから労働法は適用されません。今まではこのような場合は労働法ではなく民法の請負契約として取り扱われてきました。
しかし、成果に対する報酬制ならまだしも、成果に関係ない労働をする場合は職場が会社であっても自宅であっても同じ労働なわけですから、労働法が関与すべきものです。テレワークやSOHO等、時代にあった労働環境に合った労働諸法の整備がこれからの課題となるでしょう。
さて、テレワークのメリットですが、まず時間にとらわれない就業形態であるため都内に集中しがちなオフィスを地方に分散させることができるため、オフィスコストや通勤コスト、移動にかかるコスト、人件費等の間接コストを相対的に削減することが可能です。
また勤務者からすれば、自分自身のマネジメント能力を養うことができ、通勤時間の削減により時間的ゆとりをもつことが可能になります。結果的に生じた自由時間を家族との団らんや趣味の充実等に使えるようになります。
テレワークは時間と距離とに制約されていた地方にも朗報です。IT網を駆使すれば時間も距離も関係ありませんから、遠方ゆえ阻害されていた地域の活性化に有効利用できます。
テレワークによる新しい働き方は、今まで雇用機会の少なかった高齢者や主婦層、また身障者の方など通勤困難者等にも就業の機会が増加し、それが社会全体の雇用創出や産業活性化へと結びつきます。
高齢化や事故等により身体に障害が生じた場合でもテレワークなら仕事を続けられます。女性が育児や介護で一線を退くことは企業にとっても大きな損失ですが、普段からテレワークを制度として取り入れ実践していればたとえ環境が変化しても仕事を継続することができます。
いずれにせよ、テレワークという就労形態を育てていくことが今後日本では必要であり、これからの実態の推移を見定めながら、最も適切な法体制を整備していくことが肝要であると思われます。