[107]残業あれこれ(6)管理職の残業

~管理職=管理監督者とは限らない~

管理監督者の人が1日8時間を超えて残業していても、割増賃金が支払われるどころか超過した時間に対する通常の賃金さえも支払われないのが普通です。

これは労働基準法第41条第2号において「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者については、「法第4章、第6章、第6章の2で定める労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を除外」しているからです。

したがって管理監督者については三六協定の締結の有無にかかわらず、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることができます。管理監督者には重要な職務と責任があり、現実の勤務態様が労働時間等の規制になじまないという理由によるものです。

ところで、ここで重要なのが「管理監督者」とは何か?ということです。俗に言う「管理職」が「管理監督者」に当たるのかというと、そうでもない場合が多いのです。

一般的に会社では、名ばかりの管理職が多いです。部下のいない管理職もあったりします。それは使用者側に「管理職」とすることで残業代を支払わずに済ませようという魂胆があるからです。

労働基準法でいう管理監督者は実際に経営者と同列に管理する立場に無ければなりません。部下の労務管理はもちろん、仕事の段取りや、持ち場の割り当てなど職場において一切の管理責任があるものを「管理監督者」といいます。

そのほかにも、基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等が要件となります。

つまり、管理監督者は、残業手当をつけなくともそれに代わる十分な報酬を得ていることが要件となるわけです。

そこのあなた。名ばかりの管理職にさせられて、給料を低く抑えられていませんか?もし疑問の時は、管理職を返上して時間外手当を請求することも考えてみましょう。