[218]読者Q&A『おかしな給与計算』

■読者からの質問

私の時給は現在一時間780円です。

一日8時間勤務で月26日勤務していますから、208時間になります。普通単純に計算するとしたら780円×208時間になりますよね。

私の会社の給与の計算は違うのです!

173.5時間までは749円で計算してそれを超えた時間の計算は780×0.25×超えた時間数の計算で残業手当の金額を出すのです!

173.5時間を780円で計算するのが正しいのではないでしょうか?

つまり780円×173.5時間が基本給の計算になり残業手当の計算は780×0.25×時間数が正しいと思うのです!

上司にそう言うと変動性平均時間給だからそういう単純な計算ではないらしいです!

人件費削減の為の会社独自の計算らしいのですが私は納得できません!
何か誤魔化されて要るような気がします!

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

時間給の労働の場合は労働契約書があるはずです。そこには、時間給、週の労働時間、休憩について、勤務地などが記されています。

そこに記載されている給与はいくらになっているでしょうか?
その金額が基本給になります。仮に記載の金額が¥780とします。

お尋ねの労働環境の場合、一日8時間労働で1ヶ月26日勤務とすれば、

@¥780x8時間x26日=@¥780x208時間=¥162,240

週休2日とした場合の一ヶ月の労働日22日とすれば

時間外労働時間

208時間?173.5時間(会社の規定?)=208時間?173.5時間=34.5時間

時間外割増賃金(2割5分増しとして)

¥780x0.25x34.5時間=¥6,728

合計¥162,240+¥6,728=¥168,968

となります。

>173.5時間までは749円で計算

ということは、基本給は749円でしょうか?

とすれば、上記の計算式の780円の部分が749円となります。
しかし、その749円が基本給となれば、時間外の時給は

¥749x1.25(割増)=¥936

936円になりますから780円というのは明らかにおかしいですね。

いずれにしても、割り増し賃金の2割5分増しは、基本給がしっかり決まってないと計算できませんので、そのあたりをあいまいにされているように思えます。
基本給はいくらなのかをもう一度使用者と話し合う必要があります。

なお「変動性平均時間給」というのは聞いたことがありませんのでよくわかりません。

[217]読者Q&A『明日来なくていいといわれた』

■読者からの質問

現在パートで薬局で薬剤師をしております。現在研修期間として入っています。就業規則といったものは、ちゃんと書類では書いていないそうです。

まだ入って2日目のため、そこの薬局にあるお薬全ての薬効・副作用等把握できていません。そこで、患者さんが居ない時に、本をみて薬効を調べていました。(実際たった、3分間ぐらいの間本を見ただけですが・・。)すると、血相を変えて怒られました。「ここは、勉強する所ではない!!」だそうです。

しかし、仕事でわからないことがあり、その場で調べなければならないことなど、どんな職場に行ってもあると思います。少し時間ができたときに、仕事に関する本を見ることは、労働法で許されないことなのでしょうか?

また、最初の面接で平日はフルタイムで入るといったことを社長と言っていたのですが、本日店長の機嫌をそこねてしまい、店長から「明日来なくていいです!」と言われてしまいました。

理由は、冷却期間を置いた方がいいからだそうです。

たった2日しか働いていないのですが、なぜこんなことを言われるのかわかりませんし、(相手の機嫌を損ねたから、明日は来るな!はちょっとおかしいと思います)「1日も早く慣れてください。」と言っておきながら、「明日来なくていいです」は、明らかに矛盾します。

研修期間であれば、このようなことも許されるのでしょうか?

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

【就業規則について】

就業規則が書面になっていないとのことですが、就業規則は常時10人以上の従業員がいる場合には作らなければならないことになっています。常時10人に満たない会社の場合は不要です。

本件の場合ですが、10人以上の職場にもかかわらず、就業規則が常時閲覧できない状況にある場合、労働基準法89条違反となります。

しかし、就業規則はいわば使用者と労働者の「一番身近なルール」ですので、10人に満たなくとも、作っておくべきものです。

http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/b/archives/2006/09/204.php

【仕事中に調べ物をすること】

通常の業務において、その業務を遂行するうえで必要かつ確認のため、また事故を防ぐために、調べ物をすることについては当然認められると思います。特に薬剤など、人命にかかわる場合は、なおさらです。

しかし、調査に時間がかかるあまり、業務に支障が出る場合は、本末転倒となり、業務効率の改善を求めるのは上司として当然のことです。本件の場合は、調べ物が「読書」しているように見えたのかもしれません。また、簡単なことまでいちいち調べていたのでは、薬剤師としての資質も疑われるでしょう。そのあたりを指摘されたのではないでしょうか。

労働中の姿勢に関する条文は特に見当たりませんが、企業は服務規律として「業務に専念する義務」を定めているのが通常です。

http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/179.htm

【店長から「明日来なくていいです!」と言われてしまいました】

こういうことは、よくあることです。

しかし、「明日来なくていい」というのは「会社都合の休業」ですから、出勤しなくても賃金は支払う必要があります。この場合全額ではなく平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

(労基法第26条)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki3.htm

さらによくあることに「もう来なくていい」というのもあります。

雇用契約は労働者と使用者で締結されるもの、つまり代表取締役社長と締結するものです。したがって、その店長が代表者であるならば、その言動は「解雇」通告と成り、法的には有効です。

しかし、店長が代表者でない場合は、解雇通告をする資格はありませんから、それに従う必要はありません。

なお、研修期間中も、試用期間中も、正規の労働時間として労働基準法は適用されます。

[216]総副業時代と確定申告

会社員の場合は確定申告をせず、年末調整で済ます人がほとんどだと思います。そのため確定申告のことなど全然気にしていないのではないかと思います。

会社員は会社が毎月の給料から概算で税金を差し引き、正しい税額を年末に再計算し、ここから生命保険料などの控除をまとめて調整をしてもらう「年末調整」をします。面倒な税金計算はすべて会社任せにしていても大丈夫なようになっているのです。

しかし、本当は自分の税金は自分で納めるのが大原則。会社は便宜を図って代行してくれているに過ぎないのです。したがって、確定申告の仕組みや知識は知っておいて損はありません。これから社会は総副業時代になるかもしれません。そうなったら国民全員が確定申告することになるかもしれません。

ところで、会社員で年末調整をしても、さらに自分で税務署に行って確定申告をしなければならない場合があります。

まず、給料以外に年間20万円以上の収入がある人。この場合必要経費があればそれを差し引いた金額が20万円を超える場合。インターネットで副業を行っていて毎月20万以上の収入がある人の場合は確定申告が必要です。またアパート経営などの不動産による家賃収入がある場合も、会社員であっても確定申告が必要です。

上記は、税金をさらに追加で払う場合になりますが、払いすぎた税金を戻すために行なう確定申告もあります。身近なものとしては「住宅ローン控除」「医療費控除」があります。

住宅ローン控除は、ローンで住宅を購入した場合、そのローンの年末残高に比例して所得税を減額してくれる制度です。この制度を受けるには、ローンを組んだ最初の年度に税務署に行って申告する必要があります。

また、医療費控除は、年間の医療費が10万円(所得金額が200万円未満の人はその年分の所得合計の5%)を超えた場合、その超えた部分の金額について所得税を減額してくれる制度です。

なお、会社員でも一つの会社から年収2,000万円以上得ている人は年末調整ではなく確定申告になります。

(週刊節税美人同時掲載)

[215]副業秘匿対策(健康保険料と厚生年金保険料)

第211号では副業秘匿対策として、確定申告書の住民税の納付を会社から天引きされる「特別徴収」ではなく「普通徴収」を選んでおくことを述べました。これで会社の労務担当者に、他からの収入があることを秘匿することが可能です。

しかし、もうひとつ注意すべき点があります。それは社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)です。

これらの保険料は、給与明細をみればわかるようにごっそり引かれていると思いますが、この保険料の決定は社会保険事務所にて所得総額で決定されます。したがって、たとえばA社からの給与のほかに、B社からも給与を得ていて、その給与から同様に社会保険料を引かれている場合は、双方の労務担当者に「他にも所得がある」ことがわかってしまいます。

というのも通常二ヵ所から給与所得を得ていて、それぞれに社会保険料が適用になる場合は、それぞれの給与金額によって、社会保険料は按分されます。つまりA社にはいくら、B社にはいくらと通知されるわけですが、そのときに一緒に理由も付されてしまいます。したがって、他にも給与があることが労務担当者にばれてしまうというわけです。ただし、他社でいくら給与を得ているかは知らされません。

このようなことを避けるには、A社以外で社会保険料を払うような雇用にならないようにする必要があります。

まず、A社に勤めなら個人事業主となっている場合。個人事業主の場合は社会保険の加入義務がありませんので、収める社会保険料はA社から天引きされる部分のみとなります。

次にA社で社会保険料を支払い、B社では社会保険が適用にならない範囲の雇用としている場合。常勤の正社員の場合は、社会保険加入は義務となりますが、労働時間が週30時間未満になるなど、いわゆる短時間パートアルバイトの場合は、社会保険に加入しませんので、払う社会保険料はA社のみとなります。

この2点を守れば、会社の労務担当者に副業がばれることはありません。しかし、将来の年金のことを考えたら、A社、B社ともに保険料を払うことで、より多くの年金保険を手にすることが可能となります。つまり、副業禁止などという古臭い制度から早く開放されることがもっとも重要。それに備え、政府も将来はさまざまな雇用体系を視野に入れた社会保険制度を考えているようです。

《関連する記事》

副業禁止規定
副業による収入が会社にばれないか?
副業秘匿対策(普通徴収と特別徴収)

[214]複数の会社で働く場合は労働時間を通算する

今回はあまり知られていない情報をお知らせします。

労働者が複数の事業所で勤務する場合、その労働時間は合算されるというのが労働基準法の考え方です。事業所とは同じ会社の場合はもとより、別の会社であっても同様です。

会社での勤務(週40時間)が終わった後に、その後ファミレスでアルバイト(たとえば週12時間)をするような場合はよくありますが、この場合労働基準法では週52時間労働として認識します。

となると、問題になるのが割増賃金です。労働基準法では週40時間以上働いた場合は、割増賃金を支払うよう定めています。そして、その賃金はどちらの会社が支払うのかという問題もあります。双方の会社で36協定も締結しなければなりません。

労働者が二つの会社で勤務する場合、どちらの事業場が割増賃金を支払わなければならないかについては、労働者との労働契約を後で締結した会社とする説と、実際に法定労働時間を超えて労働者を使用する会社という説があります。

上記のようなアルバイトの場合、本業の後にアルバイトの契約をするのが普通なので、アルバイトとして雇う「後の会社」が割増賃金を払うことになります。本業の方の会社が、アルバイトをしたからといって、通常の勤務時間について割増し賃金を払う訳がありません。

また、早朝アルバイトを場合でも同様で、そのアルバイトの後に本業の勤務をした場合に一日8時間を超えた場合でも、本業のほうの会社が割増賃金を支払うはずもありません。

したがって、このようなケースの場合は、後で契約したアルバイトのほうの会社が支払うことになりますが、実際に支払われているケースは皆無でしょう。もし本業で8時間労働している人を雇い、割増賃金を支払うことが明らかな場合は、そんな条件の悪い人を採用しないと思うからです。あるいは知らない振りをして雇うかでしょう。

しかし、この場合でも、アルバイトして雇う会社が、本業で8時間労働をしていることを知りつつ、その後勤務させたような場合は、当然割増賃金を支払う義務は生じています。もし訴訟となれば、割増賃金の支払命令が出ることは必至です。後から労働契約を結ぶ事業主は、その労働者が他の事業場で働いているかどうかを確認した上で労働契約を結ぶことが重要です。

このようなケースは多くあっても、実際に割増し賃金を支払っているケースは皆無と思われます。私もつい最近まで知りませんでした。もし経験者がいらっしゃったら、ご一報ください。