[163]読者Q&A『競業避止義務』

■読者からの質問

はじめまして、競業避止義務についての質問です。

私は、1年契約の契約満了でもうすぐある会社を退職するのですが、その退職の際に「同業他社に退職日から6ヶ月間は就職しない」という競業避止の誓約書を書かされる予定になっています。

しかし、拘束に対して何の代償もない一方的に誓約するのはおかしいと思い、競業避止の誓約書自体に署名・捺印を拒否しようと考えているのですが、これは可能なのでしょうか?

なお、1年毎の契約書の条項にも同内容の競業避止義務条項が書かれています。

■たまごやの回答

『競業避止義務』

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

お尋ねの件ですが「競業避止義務」に値する「特別な仕事」に今まで携わってきたかがポイントです。具体的には・・

・会社の存続に関わる特別なプロジェクトに参加していた
・特別な開発社員として別途報酬を得ていた
・会社役員であった

などです。これらに当たらない場合はたとえ競業避止契約書に署名捺印していても「そもそも競業避止に値する仕事をしていなかった」とみなされ、無効となります。

なお、注意すべきは競業避止契約よりも

・顧客を大量に奪った
・従業員を大がかりに引き抜いた
・全く同じプロジェクトを持ち出して他社で実現し、多大な損害を与えた

というような背任行為は、不法行為として損害賠償責任を負わされる場合もあるので注意します。不法行為による訴えは競業避止契約の有無に関わらず可能です。

単に「同業他社に退職日から6ヶ月間は就職しない」という競業避止誓約書は何の意味もなさないと思いますし、そんな契約書には署名捺印をしないのが一番ですが、なにかと摩擦の原因にもなりますので、とりあえず署名捺印はしておいたほうが無難でしょう。それを元にあとで訴えを起こされたとしても、上記理由により対抗できます。

参考コラム:
競業避止義務
競業避止義務に対抗する

2004/09/21(原文)
2006/06/27(加筆修正)

[162]読者Q&A『社員が講師をする場合』

■読者からの質問

私の会社Dではある技術の年に数回、講習会を行います。その講習会の講師を雇うのですが、そのことでご相談があります。

その講師Aさんは別の会社Bに属する人で優れた技術を持った人です。そのため、私の会社D以外からも講師の要望があるそうです。今回、金・土・日(金曜日のみ出勤日)に講師をお願いしたところ、金曜日だけは会社Bに有給願をだしてから講師をしてくださるとのことでした。

しかし、私の会社Dの上司から「有給を使って講師をすることは給料の二重取りで本末転倒だ」と指摘され、さらに「土日の講師料もすべてAさんの属する会社に払い込み、会社からAさん本人に払うようにしなければならない」とも言われました。「例えば5万円の講師料を会社Bに振り込んで、そのうち3万円だけ本人に支払われたりもするだろうが、そこまでは依頼する側がタッチすることではない」とも。上司が言うには、AさんはAさんの会社Bに属しているから、講師依頼などもすべて(平日だけでなく、休業日も)会社B宛に依頼をださなければならない」とのこと。本当にそうなのでしょうか。教えて下さい。

■たまごやの回答

『社員が講師をする場合』

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

お尋ねの件ですが、これは講師を派遣する会社Bの考え方次第です。世の中では会社が社員を講師として派遣することを禁止している場合もあります。しかしお話の具合では、会社Bは特に社員が他社で講師をすることを禁止していないようなので、その場合はどういう契約になるのかが問題となります。

「社員が講師をすることを許可しているが、その場合は会社の仕事として派遣する」場合

この場合は、通常勤務であり出張にあたりますので、講師契約は会社Bと取り決めることになります。したがって、講師料をいくらにするかは会社Bとの交渉になり、その会社Bが講師にいくら払うかは関知しないところとなります。通常は賃金+出張手当くらいでしょう。この場合Aさんは「出勤」にあたりますので有給休暇の論議はあてはまりません。この取り決めになっている場合は「上司」さんの言うとおりになります。

「社員が講師をすることを許可しており、その場合は会社は関知せず、個人の責任において行なう」場合

この場合は、講師Aさんが自分の休みを使って、自分の責任において会社Dで講師を行なうことになります。契約は会社DとAさんとの取り決めなので、報酬は会社DからAさんに直接支払われます。この場合、Aさんが年次有給休暇を使うかどうかはAさんの意志によります。会社BはAさんが有給休暇を使うことを妨げることはできません。

したがってこの場合であれば、Aさんが年次有給休暇をとって会社Bで講師をし、その報酬を受け取ってもなんら問題ないと思われます。給料の二重取りという誹りを受ける覚えはないでしょう。お話の具合から、会社Bはおおらかな会社であり、社員が他社で講師をすることを特に妨げていないようですので、こちらが該当すると思います。この取り決めになっている場合は「上司」さんの言うことは筋が違う、ということになります。

なお、「会社Bでは、自社の社員が他社で講師をすることを禁止してる場合」は微妙です。

そもそも休みを取って(年次有給休暇であっても)その休日に何をしようと個人の勝手です。しかし、その休日に他社で講師をしていることを内緒にしていて、それを会社が知ったら心穏やかでないでしょう。しかも今は企業は自社の技術・ノウハウの流出には非常に敏感です。感情的になって守秘義務違反を問われれば解雇になる可能性もあります。他社で講師をするような場合は、事前に会社に断りを入れるなどの調整は必要かと思います。

2004/07/03(原文)
2006/06/27(加筆修正)

[161]読者Q&A『社用車の事故』

■読者からの質問

勤務する会社の社長から社用車(営業車)を使用して事故を起こした場合、修理費用を会社と事故を起こした社員とで折半すると言われました。このような事許されるのか。

■たまごやの回答

『社用車の事故』

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

お尋ねの件ですが、労働時間中に会社の設備を壊したり社用車で事故を起こしその社用車を壊したような場合は、当然労働者はその損害を賠償する責任があります。つまり上記のような場合、その社員に全額修理費用を会社から請求されても文句は言えません。

しかし、それでは安心して仕事ができないので、社用車といえども自動車保険には入って、どんな重大な人身事故を起こしてもそれで補填されるようにしておくのが会社の懐の深さとなります。

しかし、車両保険にまで入っているとは限りませんので、自損事故のような運転者の過失によって社用車を壊したような場合は、修理費用を請求されることはありえます。上記の例では折半ということで、むしろ会社側はかなり譲歩しているのではないでしょうか。

以上は、通常の就労条件の場合であって、これが違法なスケジュールによる過酷な労働の場合に起きたような事故の責任は、当然会社に問われることになります。

2004/06/24(原文)
2006/06/27(加筆修正)

[160]読者Q&A『残業時間の切捨て』

■読者からの質問

はじめまして。HPを見てメールしています。○○と申します。

私は、現在、一部上場企業で働いています。一つ疑問に感じた事があります。
現在働いている企業では、毎日1時間以上30分単位でしか、残業が認められていません。
私の業務は、1時間以上の残業を要する事もありますが、毎日、定時後15分?40分程度の残業です。これは今まで全て切り捨てられてきました。

会社の規則では、「1時間以上30分単位」と記載されているので仕方がないと納得いかないまま諦めていましたが、「何分以上何分単位で残業と認める」という様な事は労働法に明記されているのでしょうか?

企業側は、「労働法に記載がないから、労働法違反ではない」と主張しています。
もし、ご存じでしたら教えてください。宜しく御願い致します。

■たまごやの回答

『残業時間の切捨て』

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

お尋ねの件ですが、労働基準法でいう残業とは一日の労働時間8時間を越えた部分をいいます。したがって一日の契約時間が仮に5時間の場合、1時間残業して6時間働いても労働基準法でいう割増賃金対象の残業には該当しません。そのあたりまず確認してください。

また変形労働時間制を採用している場合はトータルで残業時間を考えますので以下はあてはまりませんので注意してください。

一般的な労働形態で一日あたり8時間の労働時間として話を進めます。

一日の実労働時間が8時間の場合、それを超えて残業した場合は、超えた部分につき25%増しの割増賃金を支払わなければなりません。これは就業規則等にそういう記述があっても無くても支払う必要があります。

会社の規則に「1時間以上30分単位」と記載されている、とのことですが、にわかには信じられませんが、本当にこの記述があるならば、コピーをとって労働基準監督署に持っていってみてもらうといいかもしれません。もちろんこのような規則は無効です。8時間を1時間30分超えて残業したならば、会社は1時間30分に対して割増賃金を支払わなければなりません。

時間の切捨てについてですが、時間計算上15分単位あるいは30分単位で計算するということは慣例上認められています。しかしそれは計算上の便宜を図るためであり、明らかに労働者の不利になるようなことは認められません。

例えば30分単位の計算方法の場合、故意に29分で上がらせて残業を付けなくするなど。このような作為的なサービス残業は過去の判例でも支払命令が出たように思います。

労働基準法第37条
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第33条又は前条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

ただし労働基準法には第41条のように除外規定があります。「土地の耕作若しくは開墾の事業」「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業」つまり農業や漁業のことをいっているわけです。これらの業務に従事する労働者については労働基準法の労働時間、休憩、休日の規定の適用が除外されます。

いずれにしても、一部上場企業とはいえ労働環境は貧弱である場合が多いので就業規則を持って労働基準監督署に相談されることをお薦めします。

2004/05/26(原文)
2006/06/27(加筆修正)

[159]読者Q&A『副業による収入が会社にばれないか?』

■読者からの質問

ハンドルネーム「まさと」様

いつもためになるお話しをメルマガを通じてお届けていただいて、感謝しております。

今回の「知得労[156]雇用保険の 知識(7)アルバイトできます」の内容に関して、どうしてもお聞きしたいことがありましてご連絡しました。お時間がある時で結構なのでご返答いただければ幸いです。

(本分より引用) なお、住民税の徴収を会社天引きで行なっている場合は、その金額から給与以外の収入が会社にわかってしまいます。ですがどんな収入があろうとプライバシーの問題なので、今はあまり気にすることはありません。

(質問内容)給与以外の収入が会社に把握されても、お金の「でどころ」がばれることはないということでしょうか?「副業」か「資産運用による収入」かそれとも「また別の収入」かまで、会社は把握できないということでしょうか?

ちなみに私の職業は会社員です。今後はインターネットを活用した商売による副収入も得たいと思っております。ひとつ、ご返答を宜しくお願いします。

■たまごやの回答

『副業による収入が会社にばれないか?』

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

お尋ねの件ですが、会社には住民税の特別徴収の関係で、従業員個人がどれだけの収入を得ているかは総額ではわかってしまいます。しかし、個別の収入額はわかりません。個人がどのように収入を得ているかはいわゆる「個人情報」にあたり、会社といえどもそれを開示させることはできません。

ただし今までの社会通念により会社は年末調整という本来ならば個人で行なうべき「税金の正しい計算」を会社が行なってきた慣例があります。そのため、会社の「担当者」は従業員の収入をすべて把握しようとする習性があります。従業員で毎年確定申告をする人は、やはり目立ってしまうので、どんな収入を得ているのか詮索されることはあるでしょう。

また、会社の就業規則に副業を禁止することを盛り込んでいるため、確定申告者はその副業をしていないかどうかのターゲットにされる可能性もあります。

しかし、株取引をしている人は今年から確定申告をしなければならず、どっと確定申告者が増えているはずで、そういった社会においていまどき副業禁止規定はナンセンスであるといえます。むしろ「副業ができる人」が評価される時代になっています。

とはいっても、お堅い頭の会社を相手に息まいてもしょうがないので、副業はしていない振りをして会社ではおとなしくして、ネットで大いに稼いでほしいと思います。

ネットで副収入が20万円以上の場合は、サラリーマンでも確定申告しなければなりません。そのときに住民税の支払いは普通徴収にすること、確定申告書の写しを会社に求められても拒否すること、が肝心です。

2004/03/08(原文)
2006/06/27(加筆)