[093]産休あれこれ(5)産休の期間

【産休の期間】

産休を取らせる会社はまだ良いとして、産休の期間を産前と産後を通算して14週間としてしまう場合があるようですが、これは間違いです。

労働基準法第65条では、産前は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は8週間の休業期間というように産前産後を別々に定義しています。したがって産前産後の休業期間を通算することはできません。

妊産婦は産休を請求できますが、請求された使用者は産休中その女性労働者を就業させることはできません。産前休暇期間は、出産予定日から計算され、現実の出産日が予定日とずれた場合でも、産前期間となります。出産当日は産前に含まれます。(労基法第65条第1項)

産後休暇は、出産後8週間をいい、この期間を経過しない女性労働者を就業させてはいけないと決められています。

産前の休暇が本人の請求を待って与えられるのに対し、産後の休暇は本人の請求の有無に関係なく与えられなければならない事に注意してください。また産後休暇は本人が就業を希望しても与えられなければならない強制休暇です。

ただし、産後6週間を経過した人が就業を請求し、医師がその就業につき支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えがありません。

なお、出産とは「妊娠4か月以上経過した場合の分娩」をいい、4ヶ月経過後の死産、人工流産も含まれます。また、産後休暇期間は、現実の出産日から計算します。(労基法第65条第2項)

 

[092]産休あれこれ(4)年休への振替は不可

【年休への振替は不可】

産前産後休暇(以下、産休)中の賃金は無給であることが多いので、これを年次有給休暇(以下、年休)に振替えてほしいという要望が当然のようにあります。しかし、産休となっている期間は既に労働義務が免除されているため、それを年休に振替えることはできません。

年休は、賃金の減額を伴わずに労働者の労働の義務と免除しようとするものですから、年休の対象となる日は、労働義務の課せられた日でなければならないからです。

産前休業については、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合には就業させることはできませんが、産前休暇に入った時点で労働義務は免除されているわけですから、年休を請求する余地も無いですし、会社側としても年休を認める法的義務はありません。

ですが、産前休暇は本人の請求があって成立しますので、本人が産前休暇を請求していない時は、労働義務が継続して生じていますから、その期間について年休を請求することはできます。

産後休業の場合、産後8週間を経過するまでの間は、原則として、会社は従業員に就業させることができないこととされています。したがって、産後休業の期間中は、労働義務は最初から無いとされますので、従業員は年休を請求できません。

ただし、例外として6週間を経過した後に従業員が請求してきた場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができます。産後6週間を過ぎ、本人が就業を請求し、医師が認めた場合は労働義務が生じますので、その期間については年休を請求することができます。

つまり、年休が使えるかどうかは、その日に労働義務があるかどうかにかかっているわけです。
 

[091]産休あれこれ(3)賃金

【賃金】

産休中は賃金は支払っても、支払わなくてもどちらでも構いません。

労働基準法は、産前の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)および産後8週間のいわゆる産前産後の休業期間中の賃金を支払うべきか否かについては、特に定めていません。

したがって、その休業中について有給か無給かは就業規則または労働協約などの定めるところによります。就業規則、労働協約に支払う旨の定めがあるときはその規定どおり支払わなければなりません。

産前42日(多胎妊娠のときは98日)と産後56日について、労務につかなかった期間については、健康保険から出産手当金が支給されます。

この場合、労務につかなかった期間とは、労務に従事できる能力のあるなしにかかわらず実際に労務につかなかった期間をいいます。

出産手当金の額は、この期間中にまったく賃金が支払われない場合には、1日につき標準報酬日額の6割相当が支給され、賃金が支払われる場合には、それが出産手当金より少額なら、その差額分が支給されます。
 

[090]産休あれこれ(2)解雇制限

【解雇制限】

妊娠を理由に、あるいは産休を請求したことを理由に、退職勧告あるいは解雇同然の処遇を受ける例が後を絶たないようです。

ですが、労働基準法はこれについて、解雇を堅く禁じています。

原則として産前産後の休業期間中とその後の30日間は解雇することができません。(労基法第19条)

具体的には産前休暇6週間および産後休暇が8週間ある場合は、その期間と産後休暇に加算すること30日間は、解雇できません。これは禁止規定です。(違反した場合6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)

ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、解雇は認められます。

一方で、6週間以内に出産予定であっても、休業を請求せず就業している場合には、産前休業中ではないので解雇制限期間にはならず、解雇することができるとした行政解釈があります。

しかし、休暇を取っている場合は解雇制限され、がんばって働いている場合は解雇制限されないというのも変な話で、理屈に合っていません。このような解雇は、そのような行政解釈があるとしても、企業の良心としてすべきことではないでしょう。

[089]産休あれこれ(1)産休とは?

長らく年次有給休暇を述べてきましたが、一段落ということでここらでお題を変えたいと思います。

最近私の周囲でよく聞くのが、お産を控えているので会社を辞めたという話です。自分から辞めたのならいいですが、辞めさせられたのならゆゆしき問題。ということで、しばらくの間【産休】についてハナシをします。

【産休とは?】

産休とは産前の休業、そして産後の休業をいいます。

産前は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は8週間の休業期間のことをいいます。(労働基準法第65条)

産前6週間とは、分娩予定日から起算して遡って6週間目が産前休暇の始まりとなります。分娩は予定日どおりにならないことが多いですが、予定日より遅れても早まってもその期間は産前6週間とみなされます。つまり分娩が遅れて7週間経過したとしても、この期間は産前休業期間とします。

この期間は本人の休業したいという請求があれば休業させなければなりません。ですが、休業の請求が無ければ就業させて構いません。つまり産前は本人の希望があれば分娩直前まで就業可能です。

産後8週間とは分娩日の翌日から数えて8週間をいいます。この期間は事業主は就業させてはいけません。(労働基準法第65条2項)

ただし、産後6週間を経過した場合、本人の希望があれば就業させても構いません。つまり、産後の6週間は本人が希望してもなんでも就業は禁止しなければなりません。(違反した場合の罰則:6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)

産休の規定は就業規則に記述されていることが多いですが、上記の要件を満たしているか確認してください。意外と満たしていない場合が多いです。

なお、産休は就業規則に記述されていなくても取得できます。