[327]忌中と喪中
昔のドラマや漫画などを見ますと、玄関の引き戸に忌中という札がぶら下がっているの場合があります。これはこの家には不幸があり、まだ四十九日が終わっていない、という印なのです。
忌中(きちゅう)とは親族が亡くなったときに「死の穢(けが)れを忌(い)む」期間のことをいいます。忌中については服忌令(ぶっきりょう)に基づいて決められており、神道の氏子の場合は50日、仏教では49日となっています。
喪中(もちゅう)とは「死者をしのび喪服を着る期間」であり、忌中よりも長くなっています。通常は13ヶ月。当月を含めますので、実質12ヶ月が喪中となります。喪中ハガキを出す場合にはこれが根拠となっているわけです。
服忌令(ぶっきりょう)は江戸時代の徳川綱吉(犬将軍様)からあるようですが、一番新しいものは明治7年に政府によって定められたもの。今では廃止となっていますが、その流れを汲んで忌中と喪中がいまなお慣習として残っているのです。
そもそも服忌令の「服」の字には「喪に服する」という意味があり、「忌」の字にはその期間を表す意味があり、その行動指針となるのが服忌令です。古来より忌中には、出仕(仕事)を控え、魚肉を食べず、髭や髪を剃らず、神仏の参詣をしない、としています。
皇室では、皇室服喪令という法令があり、今では廃止されているものの、皇室行事はいまだにこれにしたがって運用されています。内容は明治7年の服忌令に準じています。
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