[107]アンコール

NHKの公開放送(紅白を含む)に行きますと必ずリハーサルがあります。出演者のリハーサルは当然ですが、観客のリハもある。つまりここぞという時の拍手の練習です。ディレクターが手を回したら拍手。がんがん手を回したら大拍手。手を止めたら拍手はストップです。結構笑えます。

さて、NHKならずとも音楽会や観劇では拍手をするにも約束事があります。これはディレクターはいませんから拍手は観客のタイミング一つにかかってきます。タイミングを外したらしゃれになりません。本番で取り直しのきかない音楽会や観劇では特に気を使うべきでしょう。

まず、拍手以前の問題として観客が不快になるのが、演奏中に中途入場してくる客です。大抵の場合開始後は入場をお断りするのが決まりになっているはずなのですが、お構いなしに入場してくる輩が後を絶ちません。演奏中は観客も集中していますが演奏者の気も散ります。演奏が台無しにならないとも限りません。十分に余裕をみて開演前30分には入場していたいものです。

よくわけのわからない人が無思慮に拍手をする時があります。演奏が終わって余韻を楽しむのも演奏のうち。その余韻を楽しむ時間が経過した後に拍手をするのが正式です。終わったとばかり拍手するのはよくかってない人たちです。

演奏中の楽章の間にうっかり拍手してしまう人もいます。これなどはその音楽をよくわかっていない証拠となり大変恥ずかしいことです。音楽会はできるだけ下調べをして、聞きどころをよく研究してから臨むべきでしょう。前もって勉強していけば新たな感動が生まれるかもしれません。

プログラムを見ると最後にアンコール曲を印刷してある場合がありますがコレはヘンです。アンコールに応えるのはあくまでも演奏者の気分次第。気分が乗らなかったらアンコールはしなくてもいいんですけどね。また観客のほうも演奏が良かったら拍手でアンコールをする。これもせいぜい2回までにすべき。何度も何度もアンコールを要求するのは、タダ見するようでカッコよくありません。

拍手の仕方ですが、慣れないうちは周囲の様子を見て、周囲が拍手をし始めたらならって拍手をするほうが無難です。観劇の場合は幕が降り切ってから拍手をします。降り切るまでは余韻を楽しむ時間と知りましょう。

音楽や観劇に感動し、拍手をしたい気持ちもわかりますが、自分だけが楽しんでいるわけではないことを十分に心にとめておくことが必要です。