[106]ご芳名
●読者からのお便り
群馬県T様>
結婚式の招待状のお返事で、「御住所」の「御」、「御芳名」の「御芳」をカットしたり、「行」→「様」に変える部分が二重線ではなく、寿という文字で消してあるものをいくつか受け取りました。
初めて見るもので、なるほどと感心したのですが、マナー的にはこれは正しいのでしょうか?誰に対しても使用してかまわないものなのでしょうか?教えていただけるとありがたいのですが、よろしくお願い致します。
■ご芳名
ご芳名というのは、二重に丁寧な言葉です。「芳名」とは「あなたのお名前」という丁寧な言葉ですから、それにことさら「ご」をつける必要はないのですが、なぜか「ご芳名」になっています。
結婚式の招待状の場合1週間以内に返事を出しますが、返信する場合の作法があります。
返信用のハガキには以下のような言葉があるはずです。
御出席
御欠席
御芳名
御住所
※いずれも実際には縦書き
◆出席する場合の例
御出席させていただきます
(御の字を斜め二重線で消し、出席の字をマルで囲み「させていただきます」
を追加する)
御欠席
(御欠席の3文字を二重線で消す)
御芳名
(御芳の2文字を二重線で消し、自分の名前を続けて書く)
御住所
(御の字1文字を斜め二重線で消し、住所を続けて書く)
注意点としては「御芳名」の場合は「御芳」までを消します。文字を消すときは、1文字の場合は斜めの二重線で、2文字以上の場合は縦の二重線で消すのが正式となっています。
欠席の場合には「残念ながら所用の為欠席させていただきます」など、欠席理由を簡単に書き添えると丁寧さが伝わります。欠席の理由を細かく述べる必要はありません。
お便りにありました「寿」の文字で消すというのは正式ではないと思います。しかし、それを受け取った「群馬県T様」が不快に思うわけでもなく、むしろ感心なさった時点でマナー的にはなんら問題ないと思います。
マナーとは相手を思いやり不快にさせない心遣いですから、これと決まったことというのはじつは無いわけで、その場に応じた心遣いによるところが大きいといえるものなんですね。