[087]パセリとクレソン
ラーメンの作法として、出されたらスープをすすり、それからおもむろに麺をいただく。そして、最後にスープを全部飲み干し、どんぶりの内面にナルトを貼り付けて箸を置く。レンゲは使わない、というのが通の作法とされています。え?いや、マネをする必要はありません。自称「通」の自己満足でしょう。
いまどきナルトを具とするラーメンは珍しいですが、ナルトだって食べてもらうためにあるのですから、どんぶりに貼り付けず食べてほしいと思います。だけど、私もラーメン屋時代、実際にナルトを使ったラーメンを提供していた時期がありますが、やはり食べてもらえない確率は高いです。悲しきナルトかな。
レストランでは、メイン料理にクレソンあるいはパセリを彩りにつけます。これは決して見映えだけの問題ではなく、ピリッとしたクレソン、しゃきっとした苦味のパセリは食欲増進や胃の働きを活発にする効果があり、これも見映えだけではなく料理と一緒に食べていただきたい食材です。
パセリは、オランダゼリともいい、日本人に不足しているベータカロチンやビタミン類が豊富に含まれた緑黄色野菜です。精油成分も含まれていますので食中毒の予防や口臭予防にも役立ちます。
クレソンは、ヨーロッパ大陸原産のアブラナ科の帰化植物(外国からきて自然に増えた植物)です。クレソンという名は仏名で、和名ではオランダガラシまたはミズガラシなどと呼ばれています。カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維が豊富で栄養価の高い食材です。
さて、ここで問題。オランダゼリはパセリ。オランダカラシはクレソン。ではオランダミツバとはなんでしょう?答えは一番下。
クレソンですが悲しいかな、食べてもらえないことが多いです。私がデニーズのキッチンにいた時は、丁度店長がクレソンが嫌いな人で、店長が食材の発注をする時はいつも量が少ない。クレソンは多くの料理に使うので切らしたら困るので、いつもなら多めに発注するのですが、どういうわけか少なかったりします。そういうときに限ってお客さんが多く入り、当然クレソンが不足します。切らしてどうにもならないとき、しょうがないのでミントの葉を使ったことがあります。これはこれで美味しいのですが。
パセリも食べてもらえないですね。一時期、冷やし中華にパセリとイチゴをつけたことがありました。イチゴを残す人はほとんどいませんでしたが、パセリはほとんど残されます。イチゴの季節が過ぎ、これをミニトマトに替えたら途端に食べてもらえなくなりましたけど。
さて、クレソンもしくはパセリが付け合せに出たときは、大きいものはナイフで切ってフォークに刺して食します。パセリの場合は茎が硬いこともありますので、その場合は茎をナイフで除いて柔らかいところだけ食べます。クレソンは太い茎も意外と柔らかいので、そのまま食べても大丈夫です。
ただし、程度のあまりよろしくないレストランでは、お客の残したパセリを使いまわししているところもあると聞きます。そういう気配がもしあったら、食べずに鑑賞するのも良いと思います。
答え:オランダミツバ=セロリ