第3回-霊感が、ついちゃった職員

2018年8月26日

こんばんは、稲垣尚美です。梅の花が、満開です。

この間、W(21歳女性)という職員と一緒に夜勤をしました。まだ、就職して1年足らずの職員です。なんと彼女、就職してから霊感を感じるようになったと言うのです。それまでは、死イコール無だと思ってたようなのです。

彼女、いわく「なんか、いるのを感じるの。見えないんだよ。ほんと、ほんと。それまでの人生、霊なんて信じてなかったんだから。特に、この施設だと洗濯室。あそこへ行くとぞくっとするくらい感じるの」「洗濯室?」霊感ゼロの私は、なんで洗濯室なのか、わかりません。

私は、施設の中で一番恐いのは、夜中の3時にスイッチを入れに行く地下のボイラー室です。大きな機械が、震えるようにゴーとうなり声を立てて、部屋全体をおおっているのが、とても不気味です。だからボイラーのスイッチを入れに行く時、大急ぎで走ってスイッチを入れてきます。もう恐くてしかたないので。洗濯室は、恐いって感じたこと全くないです。洗濯室へ行くと私に見えるのは、膨大な洗濯物の量です。

「ボイラー室なんて何もいないよ。ただ、暗いだけ。それよりも洗濯室。あそこは、施設の外から覗かれてる気がするの。やはり水場だからかな」確かに言われてみれば、施設の周りって結構、お墓があります。そんなところからきてるのかな。

「稲垣さんって小さい頃、おじいさんかおばあさんにかわいがられなかった?すごくそういう人に守られてる気がするの」確かに小さい頃、祖父母にすごくかわいがられてました。もう、二人とも亡くなってしまったのですが。その二人、特に祖父に守られてるっていう気は、します。

私は、何年もこの仕事をしてるのに死に直面したことがほとんど無いのです。だから、死後の処置もしたことがありません。なのに一年足らずのWは、「私、何度か死に直面してるよ。もう五回も死後の処置もしてるし」なんという私との違い。

よく思うのが、死ぬ時も人って看取ってくれる人を選ぶのかな。私自身が、避けてるのか、老人に避けられてるのか、わからないけど、私が、勤務してる時間は、平穏に過ぎていくことが多いんです。

その平穏さが、祖父のせいだとしたら、「おじいちゃん、あまり過保護にしなくてもいいよ」と言いたくなります。

2002.03.01