第30回-熱の効果

2018年8月26日

こんにちは、稲垣尚美です。最近、寒いですね。でも、紅葉がきれいなようです。私は、機会がなくて見に行くことができません。このまま冬に入るのでしょうか。ちょっと寂しいな。紅葉よりももう、スキーの話がもちあがっています。

施設の中は、相変らず風邪が猛威をふるってます。突然、38度の熱が出るのです。通常の成人のように鼻水や咳などの症状はなく、熱からくる人がほとんどです。

昨日も、はな子さんが熱を出していました。「はな子さん、37.4度あります。」そう聞いて、クーリングして寝てもらわなきゃと本人をさがすとすごい勢いで車椅子をこいでどこかへ行こうとしています。ふだん、いくら言っても自分から車椅子をこごうとしない人なのに。「どこへ行くんですか?」「うどん屋をやる」目を真っ赤にしてキラキラしています。夢が、できたっていいな~と思いつつ、とりあえず、説得してベットに横になってもらいました。

しばらくしてガシャンとベット柵の落ちる音。はな子さんの部屋あたりです。走って行くと、ベットから起きあがろうとしています。「どうしたの?」「トイレへ行きたい」ふだん、そんなこと言わない人なのに、熱でいい方向へいっているような。

また、ベット柵がガシャン。「どうしたの?」「うちで葬式と法事があるから、忙しいから行かなきゃならん」用事を思い出したようです。はな子さんは、本入所の人で最近は、家族の面会もみえていません。「熱が下がってからにしましょうね。」

夕食時に起きてもらってホールでテレビを見ていてもらいました。突然、大きな音。車椅子の倒れる音でした。嫌な予感。慌てて行ってみるとはな子さんです。「なんで転んだの?」「あそこの毛布をとろうとした」近くの椅子においてあったひざ掛けをとろうしたようです。右手母指に少しケガがありましたが、後は外傷は、ありません。「痛いところは?」「痛いところは、ない」赤い顔をして軽やかに笑っています。いつもむっつりしている人なのに。

熱って人をかえてしまいますね。

2002.11.23