第10回-場違いな存在

2018年8月26日

こんにちは、稲垣尚美です。最近、67歳のショートの方が、入所してみえました。

ショートというのは、1週間とか2週間とかの期間を決めての施設入所です。もちろん1泊2日というのもあるし、日帰りショートというのもあります。

その方は、とりあえず10日間ということ。とりあえずというのは、自宅での介護者である奥さんが、入院したので退院するまでということでした。奥さんからの電話で「夫の親戚筋の者が、一緒に来所します」とのこと。親戚筋?筋ってどういうこと?と、みんな不思議でした。

本人と親戚筋の人が、来所されてなんとなく納得。愛人さんでした。奥さん、公認なんですね。要介護者になっても愛人関係って続くんですね。愛人さんは、大人しそうな感じの人。本人は、一言で言えば、恐そう。下手なことをすると頭ごなしに怒鳴られそうって感じです。

普段、平均年齢85歳の人達と接している私達は、その67歳の人にたいしてとても違和感が、ありました。老人という感じはしなくて、なんとなく場違いな感じです。痴呆はなく、とてもしっかりされた方です。ほんとにここにいてもらっていいのって感じでした。

だから必要以上にみんな気を使ってしまいました。新聞を毎日、配達するとか、こんな言動は、しないとか、夜中は、その居室の廊下は、睡眠の妨げになるので歩かないとか、いつのまにか専用のマニュアルができていました。

みんな疲れてきたので「いったい、いつ帰るんだろうね」と職員間で話題になっていたのですが、10日間を過ぎた頃、担当が本人といろいろ話したところ、「なんかすごく居心地がいいらしいよ。なんにも不満は、ないって言ってみえるよ。」とのこと。それは、そうですよね。若い女性が多い、この施設。いつも笑顔で接して至れりつくせりなんだから、不満がないほうが、おかしいと思いました。

介護保険の今、ショートの人ってお客様なんだなって実感しました。

2002.04.19