第88回 母の気持ち
こんにちは、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。
思い起こしてみると、我がホームで過ごしてもうすぐ三年が経とうとしています。その中で、沢山の出来事がありました。落ち着かないホームNo.1と言われ続けて現在、良いホームに生まれ変わっています。アットホームで落ち着きのある、モデルホームとして日々研修生が来る様になりました。
昨年からずっと、その環境が嬉しい反面、変わって行く全ての物に寂しさを感じていました。そこに、永礼 盟は不似合いな雰囲気も感じ、自分の環境を変える事を決意していました。
年明けから、他のホームへ人事異動になりました。情けない話、もう前に進めなくなってしまったのです。退職する事も考えましたが、同じ系列のホームで出直してみよう。他の環境も見てみよう。それで駄目だったとき、退職しよう。そんな気持ちから、異動願いを出したのでした。
管理長は、「行きたいホームがあるか?」そう尋ねてくれました。自分の目的は、リセットでした。環境を変えて1からやり直してみたかったのです。その意思を伝え、2~3の条件を出させてもらい、異動先は管理長に委ねました。
現在、そこで働き出しています。以前、我がホームがそうであった様に、落ち着かないとレッテルのはられたホームのようです。そこで1からのスタートを切っています。毎日、毎日、今までとは違う業務の流れや利用者の多さに戸惑っています。予想通りの自分が在ります。仕事のできない事が本当に嫌になります。その中で、1つ1つ確実にこなして行かなくてはと思います。1日、1日を、やっとの思いで乗り越えている感じです。気がつくと涙を流しています。逃げたくて、逃げたくて、仕方ありません。表向きは、必要以上にやる気満々の姿勢を貫いていますが、心の中では逃げたくて仕方ないのです。辛いとき、以前のホームでの出来事を思い出します。
今回異動するとき、利用者とご家族に異動する事をお伝えし、御挨拶する事が出来ました。あるご家族が、わざわざホームまで来てくれて「異動するんですってね、今まで本当にお世話になりました。」そう言って、想いを私に打ち明けてくれました。その想いは、『母の気持ち』です。と声をかけて下さったのです。母が喋る事が出来たのならば、同じ事を永礼 さんに言ったでしょう。そう言う母でしたから。
あんなに号泣したのは本当に何十年ぶりでした。その気持ちや想いが嬉しくて。言葉は交わせなかったけど、やっぱりそう言う方だったんだって事が解った事。とても嬉しかったんです。そんな人の想いや気持ちが、今の自分を支えています。
本当に大変な所に異動になってしまいました。その中で、永礼 盟の第二章は始まっています。
2005.01.18
永礼盟