第97回 ホームと病院

2019年3月16日

こんにちは、永礼 盟です。ご購読ありがとうございます。

ホームと病院、看護師と介護士、俄に職場が揺れています。介護職員だけでなく、看護師も多くの退職者が出ました。私が今の職場に異動して、既にホームの顔が変わりつつある気がします。

数ヶ月の間に沢山の職員や看護師が入れ替わりました。ずっとホームの健康管理をしていた看護師さんが辞め、病院でのケアを重視した看護師さんがやって来ました。

『ホーム』その方のお家と考えられる生活空間の提供。専門分野で活躍された人には、受け入れる事が出来ないようです。『病院』にはあるのが普通よ。老人ホームとは、その人のお家。病院にあるのが当たり前の機械も、ホームにないのが当たり前。「清拭用の蒸しタオルをしまっておく機械は何処にあるの?」新しい看護師さんの問いに、電子レンジでチンして対応していると伝えると、「そんな不衛生なことしてるの!」と、めちゃくちゃ怒られます。「自分に言われてもなぁ」と思いましたが、そんな理想と現実の闘いがある様に思います。お家にある物を代用すると言うのは、ホームの基本です。

辞めてしまった看護師さんが最後に言っていました。病院に勤務している時、なぜここまで状態が悪くなるまで放っておくんだと、老人ホームから受診してくる患者さんを見ながらホームの対応を悪く思っていたそうです。しかし、自分がホームで働いてみてその現実が解った事がとても大きい収穫だったと。

健康管理ってなんだろう?って思います。何か様子がおかしいようならば、すぐにバイタルチェックする様に指示されます。新しい看護師さんの言っている事は良く分かります。しかし、夜勤者が言っていました。「ここはもうホームじゃない。病院だ」と。

ホームでの夜間のラウンドと、病院でのラウンドはおそらく違う物と思われ、インフルエンザが流行ったとき、心臓疾患のある人、呼吸器系の病気を抱えてる人、殆どの人のバイタルを計るよう指示されました。今までとは違うやり方に、職員一同戸惑いを感じました。

言っている事、やっている事は当たり前の事ですが、ギッチギチの管理の仕方に職員から不満が出だしました。何が正しくて、何が間違っているんだろう?といつも考えます。

利用者から、「ここは私を病気にしようとしている。」そんな声が出始めました。自分は何処も具合が悪くないのに、血圧ばかり計って。検温ばかりして。その声が聞かれ始めたと同時に、元気がなくなる利用者が増えました。

看護師と介護士、ホームと病院と言う問題が、これからの我がホームを左右する大きな問題に変わって行く予感がします。

2005.04.04

永礼盟