その昔フランシュ・コンテ地方はこのブルゴーニュ地方、つまりブルゴーニュ大公領土のひとつだったそうな。ブルゴーニュ家最後の公女、マリーが時の神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアンと結婚してこの領地もドイツになったけど、ブルゴーニュ家が廃れてルイ14世に乗っ取られた時にフランシュ・コンテも同時にルイちゃんのものになってしまったとな。マキシくんの時はフランシュ(自由領土)だったのにきかん坊のルイになったらぎゅうぎゅうと締められた。中央集権の君だから全て範疇に治めたし。
当時の首都ドールの市民はルイの勢力に楯突いた。フランス人お得意のストライキ。怒り狂ったルイは暴動鎮圧あとには見せしめのために首都をドールからブザンソンへ遷都。お抱えの建築家ヴォーバンに巨大な忍者屋敷みたいな要塞を山の上に建てさせた。さすが太陽王ルイ14世だけあって皆が見上げるような所にとてつもないものを建てた物よ。ブルドーザーやクレーン車のない時代にあっぱれだわ。彼の要塞はフランス各地にあるけれどいずれにせよ、その自由で画期的な発想がすごい。彼のような人が今日いたら大手企業にひっぱりだこか、市場を独占するような大企業家になっていたかも。
フランスには大城壁とか要塞は各地に点在しその殆どが観光地です。大体は城壁の中に小町がありホテルやレストラン、お土産屋がおきまり。要塞ならコスチュームもの映画につかえそうな甲冑とか剣とか恭しく展示される博物館。いずれにしてもあんまり面白くない。でもブザンソンのシタデル(要塞)は大人も子供も楽しめる巨大テーマパークのよう。そこへ行くには駅からバスか、市街中心地からプチトランに乗るのが良い。でも帰りは長くてきつい坂を景色の素晴らしさをゆっくりと歩きながら堪能して下さい。
城壁の上には遊歩道がありそこからのドゥー川の景色が最高。ここにはミニ水族館、ミニ動物園のほかに民族博物館、レジスタンス資料館があります。レストランではちょっとした郷土料理からスナックまであるので半日過ごしても十分にOK。
レジスタンス資料館はかなりその写真が生々しい。また戦時中はこの要塞に強制収容所があったことや広場には銃殺刑の際に使用された杭が残されているので少し怖い気もするけれど歴史に関心のある人は是非見て。アルザス・ロレーヌとは違った苦しみを受けたフランシュ・コンテの人達の平和に対する願いを感じ取って下さい。
ブザンソン市のサイト: http://www.besancon.com
夢路とみこ