[101]セクハラあれこれ(6)最悪の事態を回避するために
会社として、職場にセクハラが存在するかどうかを認識することは非常に難しいことです。なぜならセクハラガイドラインはあっても最終的にはその女性労働者がどう取るかにかかっているからです。
たとえば、就業後にたびたび食事に誘われる。これだけでセクハラになるとは限りません。女性によっては、食事くらいなんとも思わない人もいれば、誘われるたびに断るのが苦痛な人もいるでしょう。また、同じ誘われるにしても好意を持っている人ならかえって嬉しく思うこともありましょう。
またセクハラの加害者はどうでしょうか?セクハラが起こっていても加害者本人は意外と気づいていないことが多いのです。女性労働者がNOと意思表示できる場合は良いですが、そうでない場合はズルズルと深みにはまり、結果女性労働者があ辞める羽目になる。そのときになって加害者も初めて気がつくというわけです。
セクハラ問題が露見すると、被害者だけでなく、加害者も解雇や異動などを覚悟しなければなりません。上長も管理責任を問われます。事が大きくなり訴訟問題に発展すれば経営者とて矢面に立たざるを得なくなります。セクハラで訴訟を起こされたとなれば、まじめにやっている社員までも世間から白い目で見られたりすることもありましょう。こうなったら大変です。できるだけ早期発見につとめセクハラの芽をつみ取ること、セクハラを発見したら見過ごさず厳正な対処をすること、加害者・被害者双方に対して話を聞き誠実に対処することが必要です。
セクハラは究極的には個人の捉え方次第であり、その女性労働者が「嫌だな」と思えばセクハラになり、同じ行為を「嬉しい」と思えばセクハラにならないということです。上長にある立場の人は、このあたりを敏感に嗅ぎ取り、対処するしかないというところにセクハラ問題の難しさがあるといえます。