[203]男性に対するセクハラも禁止
男女雇用均等法というのは、雇用の場面での男女への差別をなくそうと施行されたもので、20年の歳月が経過しています。1997年には、募集・採用時や、配置・昇進等の場面での直接的な差別を禁止する条項を盛り込んだ改正がなされましたが、そのほかにも「間接差別」の禁止を盛り込んだ改正男女雇用機会均等法が成立、2007年4月1日から施行されます。
間接差別とは、一見中立的に見える基準でも、結果的に一方の性に不利益を与えるものをいいます。たとえば家族手当の支給要件を「住民票上の世帯主」とする、などはよくあることです。家族を持つ場合、世帯主は通常は男であることに目をつけ、「世帯主でない共働きのお母さん」に家族手当をつけなくする手段です。うまい方法といえばうまい方法ですが、これは間接差別に当たります。
事務系の社員を募集するときに、仕事に関係ない身長や体重、体力などを採用条件にして事実上女性を排除しているような場合があります。事務系の仕事の場合身長や体重は関係ありません。これも間接差別になります。
今回の改正で盛り込まれる「してはいけない差別要件」は…
(1)募集・採用時に身長・体重・体力を要件とする。
(2)総合職の募集・採用時に全国転勤を要件とする。
(3)昇進時に転居を伴う転勤経験を要件とする。
募集・採用時に以上の3点を要件とすることは、一般的に見て職務との関連性が認められない場合、今回の改正案で禁止対象になります。
募集・採用時等の男女双方への差別禁止はもちろん、以前は女性のみが対象だったセクハラも見なおされ、男性に対するセクシャルハラスメントも事業主の配慮義務規定・措置義務規定の対象となります。
中央経済社 (2002/06)
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