[222]誓約書の効力

退職時に同じ職種に付かない、などと記された誓約書を書かせられることがあります。この誓約書の効力をめぐって労働紛争になることも多いようです。この誓約書の効力ですが「基本的には民事上の効力があります」ので、できれば書かずに済むのであれば書かない方が良いといえます。

しかしことの流れで書いてしまうことも多いでしょう。そういう場合にトラブルを避けるためには内容を吟味することが必要です。誓約書に退職後のことを書いた場合、それが公序良俗に照らして妥当かどうかがポイントになります。

まず、憲法で職業の自由が保障されている日本では「個人の職業選択の自由」が優先されます。つまり退職後に同じような職業についても基本的には問題ありません。

ただし、退職後の競業避止について、たとえば3年の期限を設けていたり、退職後の就職について制限を与える代償として退職金を上乗せしていた場合などは、公序良俗違反とはならず、誓約書も効力を保持します。

もともと、誓約書は「約束があった」という証明にはなりますが、その内容によっては効力を持たないものも多くあるのです。常識に外れるような約束は無効です。

たとえば、犯罪を条件とするような誓約書、生存を脅かすような誓約書、永久に制限するような誓約書は、無効と考えることができます。約束事はその時点での時代を考慮しますので、永久に制限することはできません。

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