[053]変形労働時間制

 

労働時間は1日8時間、週40時間以下と決められていて、これを超える時間を労働させる場合は、時間外労働となるのが原則です。時間外労働になれば当然時間外手当の問題が生じてきます。
 
業態によっては、上記法定労働時間が業務にそぐわない場合があります。例えば、1ヶ月のうち前半はめちゃくちゃ忙しいが後半はほとんど仕事がないくらい暇だとか、あるいは1年のうち夏は忙しいけど冬は暇だとか。また1週間のうちでも忙しい時と暇な時がある業種もあります。また、24時間をカバーする交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。これは使用者にとって有利な制度ということができます。
 
【1ヶ月単位の変形労働時間制】
 
1ヶ月以内の一定期間(1週でも4週でも構わない)を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
 
《合計で週40時間を超えなければ時間外とならない例》
 
月曜日:休日
火曜日:7時間労働
水曜日:7時間労働
木曜日:7時間労働
金曜日:休日
土曜日:9時間労働
日曜日:9時間労働
(合計週40時間)
 
《平均して週40時間を超えなければ時間外とならない例》
 
第1週目:40時間
第2週目:38時間
第3週目:38時間
第4週目:44時間
(合計160時間、平均すれば週当たり40時間)
 
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定または就業規則等に定めをして、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。(労基法第32条の2)
 
【1年単位の変形労働時間制】
 
1ヶ月を超え1年以内の期間を法定労働時間に収めれば、特定の日が法定労働時間を超えても時間外労働にならないとするもの。
 
1年単位の場合には、1ヶ月単位の変形労働時間制より細かく規定されています。
 
・1日の上限は10時間まで
・1週の上限は52時間まで
・1週48時間を超える設定は連続3週以内
・対象期間を起算日から3ヶ月ごとに区切った各期間で、週48時間を超える週は3回以内
 
1年単位の変形労働時間制を採用するに、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合に比べやや厳しく、必ず労使協定を締結して、労働基準監督署長に届出をしなければなりません。
 
【連続労働の限度】
 
連続して労働させることのできる期間は原則6日です。労使協定で特定期間を設け、その期間では週に1回の休日を与える範囲で例外とすることができます。(例えば1週目の初日と翌週の最終日を休日とするなど)

[052]介護休業

 

育児休業と同様、育児・介護休業法では、一定の介護が必要な家族のいる男女労働者が働きやすいように、介護に関する法律を定めています。これはすべての企業に適用され、申出があった場合事業主は拒むことができません。ただし適用除外される場合があります。
 
【要介護状態の家族がいることが要件】
 
配偶者、子、父母、配偶者の父母、同居扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫、のいずれかが一定の介護を要する場合に適用されます。この場合配偶者は事実婚を含みます。また、父母、子は養子、養親を含みます。祖父母、兄弟姉妹、孫は労働者本人と同居扶養されていることが要件です。
 
【要介護状態とは?】
 
負傷や疾病により、身体もしくは精神の障害があり2週間以上の常時介護を要する状態をいいます。
 
歩行、排泄、食事、入浴、着脱衣の日常活動作事項のうち、全部介助が一項目以上、一部介助が2項目以上あって、かつそれが継続的であること。
 
攻撃的行為、自傷行為、火の扱い、徘徊、不穏興奮、不潔行為、失禁のうちいずれか一項目が中度以上に該当する場合。
 
(介護認定は市で公的に認定を受けることが可能です。要介護認定を受けるためには、市介護福祉課の窓口をおたずねください)
 
【対象除外】
 
・雇用されてから1年未満のもの・3ヶ月以内に雇用が終了するもの
・1週間の所定労働日が2日以下のもの以上、対象とならず、請求があっても事業主は拒否できます。
 
【2週間以上前に申し出る】
 
介護休業は所定の用紙で2週間以上前に申し出ることにより取得可能となります。開始予定日と終了予定日を明らかにした文書で申し出ます。
 
事業主は、介護に関する証明書類の提出を求めることができますがあ、原則として申請を拒否することはできません。
 
【期間】
 
休業期間は家族一人につき最長3ヶ月です。その期間の間で開始予定日から終了予定日までとなります。
 
【時間外労働を制限する制度】
 
対象家族を介護している労働者は1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働の免除を請求できます。
 
【深夜業の制限】
 
介護休業を要する労働者から請求があった場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時以降午前5時までの深夜に就業させることはできません。
 
【勤務時間の短縮等の措置】
 
常時介護を要する対象家族を介護する労働者に対して、事業主は以下の措置を3ヶ月以上の期間をとらなければなりません。
 
・短時間勤務の制度
・フレックスタイム制
・始・終業時刻の繰上げ・繰下げ
・労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度
 
【転勤への配慮】
 
就業場所の変更によって、家族の介護を行なうことが困難となる労働者がいる場合は、転勤をさせないなどの配慮義務が事業主にはあります。
 
【禁止事項】
 
事業主は労働者から介護休業の申し出があったことに対し、それを理由に解雇その他の不利益な取り扱いはできません。
 
【給付金】
 
介護休業期間は雇用保険から(休業開始時賃金x40%x介護休業月数)の介護休業給付金が支給されます。
 
2002/10/24
(2000/11/01発行分加筆修正版)

[051]育児休業

 

育児・介護休業法では、子供のいる労働者が働きやすいように、育児に関する法律を定めています。この法律は、子供が1歳の誕生日を迎えるまで、1年間を限度とし労働者の希望する期間を休むことができるものです。これはすべての企業に適用され、申出があった場合事業主は拒むことができません。
 
育児休業制度の対象となるには色々条件があります。1歳未満の子供がいるからといってすべて対象となるわけではありませんので、確認しましょう。
 
【対象除外】
 
・日々雇用される労働者
・期間を定めて雇用される労働者で更新していないもの
 
以上、対象となりません。
 
また、労使協定で定めた場合で、
・雇用されてから一年未満のもの
・配偶者がいて普段子供の養育に携わることができるもの
・1年以内に雇用が終了するもの
・一週間の所定労働日が2日以下のもの
などの、合理的理由がある場合は、対象外とすることができます。
 
【1ヶ月以上前に申し出る】
 
育児休業は所定の用紙で1ヶ月以上前に申し出ることにより取得可能となります。それを受けて、事業主は、休業開始日の指定をします。休業期間中の賃金は特に支払う必要はありません。もちろん支払っても構いません。
 
【休業中の賃金】
 
育児休業中は雇用保険より、育児休業給付金として休業前の賃金の最大25%が支払われます。会社から休業中に賃金の支給を受けても、その合計が休業前の賃金の80%を超えない限り支給されます。
 
【期間計算】
 
育児休業中の期間は、年次有給休暇の算定期間には含まれます。ただし、退職金や賞与の算定期間に含むかどうかは、事業主の任意です。
 
【社会保険料】
 
育児休業中の健康保険料と厚生年金保険料の労働者分は免除されます。事業主負担分は、休業前と同様に徴収されます。
※平成12年4月より、厚生年金保険料の事業主負担分は免除されます。
 
【禁止事項】
 
事業主は労働者から育児休業の申し出があったことに対し、それを理由に解雇をすることはできません。また休業の終了後も現職復帰が原則であり、職務変更や勤務地変更などを行ってはいけません。
 
【労働基準法の育児時間】
 
以上は、育児・介護休業法に基づく規定ですが、労働基準法でも育児時間として1日2回最低30分づつ事業主に請求できます。ただしこの場合は女性労働者に限ります。(労基法第67条)

[050]懲戒(2)

 

懲戒に関する定めは、それを必ず就業規則に記載しなければなりません。懲戒は労働者にとって生活にかかわる重大な問題なので、労使間でトラブルが生じやすいのです。就業規則にその種類および程度をわかりやすく定めることが必要です。
 
【懲戒の取扱い時の注意】
 
1)懲戒処分を行うときは、弁明の機会を与え、事情をよく聴取するなど、適正な手続きによることに努めてください。弁明の機会も与えず一方的に処分することはできません。
 
2)減給については1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払い期間における賃金の1割を超えてはいけません。
 
3)出勤停止期間については、法律上の規制はありませんが、あまり長い出勤停止期間は望ましくありません。
 
4)懲戒解雇で即時解雇する場合には、あらかじめ労働基準監督署長に申請してその認定を受けることが必要です。労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給しなければなりません。
 
5)懲戒事由は具体的に記載されている必要があります。拡張解釈や類推解釈は認められません。
 
6)懲罰の規定は、その行為よりも前もって決められていなければなりません。泥縄式に行為の後慌てて決めても無効です。
 
7)懲戒事由と懲戒処分は客観的に見てバランスがとれたものでないといけません。
 
8)懲戒の対象は行為者個人に限られます。(団体への処分は不可)
 
9)過去の同様の事例に合わせ、同じ行為には同じ処分がなされなければなりません。
 
10)一つの行為について一度処分されたなら、同じ行為について重ねて処分されることはありません。

[049]懲戒(1)

 

最近新聞やニュースでもよく聞く「懲戒」。大企業の社員や公務員が懲戒処分された、などと言う記事が絶えないですね。
 
懲戒とは企業内で不始末を起こした場合に、与えられる制裁のことで外部的なことではなく内部的な秩序を守る為に設けられたものです。
 
懲戒には種類があります。
 
1)譴責(けんせき)
 
懲戒処分のうちで一番軽く、始末書などを提出します。
 
2)出勤停止
 
使用者側から労働者の就労を拒否するものです。労働していませんから賃金は支払われません。ただし、あまり長い出勤停止は労働者の生活を脅かすので、不当に長い出勤停止は認められません。
 
3)減給
 
賃金の一定額を差し引かれる処分です。これはいくらでも引いていいというものではなく、一回の違反については1日分の賃金の半額以内。複数の違反があった場合でもその減給額はその月の賃金総額の1割を超えてはいけないことになっています。(労基法第91条)
 
4)諭旨免職(ゆしめんしょく)
 
本人自身からの依願退職を勧めるものです。懲戒解雇に比べれば軽いものの退職を強硬に迫るという意味合いがあります。
 
5)懲戒解雇
 
懲戒解雇は一番重い制裁となる解雇処分です。懲戒解雇となった場合は、労働者は退職金がもらえないこともあり、また会社に重大な損害を与えたような場合は民法上の損害賠償に応じる必要もあります。
 
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最近仕事中にインターネットでネットサーフィンをしていたり、会社の秘密を掲示板にかきこんだり、仕事中にネットによるサイドビジネスに熱中したりしているのは、すべて懲戒にあたる行為ですので、そういうことはやらないよう注意しましょう。