[043]女性とセクハラ

 

改正均等法では、事業主に対して、職場における性的な言動に起因するトラブルを防止する為に、雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定しています。
 
この場合の職場とは、会社内に留まらず、取引先の会社内や顧客の自宅、打ち合わせに使った上司の家など、業務を遂行するに必要な場所すべてをいいます。
 
また性的な言動とは、性に関する発言や性的な行動をさし、性的な関係を強要するのはもちろんのこと、必要もないのに身体に障ったりすることも含まれます。新婚の女性社員にむかって子供はまだか?とか、ちゃんとやってるのか?などもセクハラにあたります。このような、言動職場に対して事業主は配慮しなければなりません。
 
配慮すべき事項は以下のとおり
 
1)予防のための配慮
 
問題が起こらないよう事前に社員に「セクハラとは何か」を周知させる必要があります。そしてセクハラによる問題が起こらないよう会社で取り組んでいる姿勢を明示することが大事です。
 
2)起こってしまった場合に備えての準備
 
現実にセクハラが起こってしまった時のために、被害者の相談を受けたり、苦情を受けつけ処理する窓口が必要です。窓口は人事部に直結しており、また社内的に秘密が守られることが必要です。女性が相談しやすいよう、女性の相談員も必須です。このような窓口があれば、逆にセクハラのトラブルを防ぐ効果も狙えます。
 
3)起こってしまった場合
 
起こってしまってから慌てないよう、専任の担当者を決めておき、事実の確認方法や、そのあとの配転などの措置を決定しておきます。必要あれば、就業規則などにも盛りこんでおきます。
 
セクハラは、加害者が知らずにいることも多く、いきなり配転されることも少なくありません。事が大きくなる前に、双方から事情を聞けるような職場作りが必要です。

[042]女性の時間外労働

 

【女性の時間外労働・休日労働】
 
平成11年4月より、女性の職域拡大のため、男女とも時間外労働について同じ取り扱いがされるようになりました。それまでは、
 
1)工業的事業に従事する女性の場合、
1週6時間以内、かつ1年150時間以内
休日労働の禁止
 
2)非工業的事業に従事する女性の場合、
4週36時間以内、かつ1年150時間以内
休日労働4週で1日以内
 
となっていましたが、この規定は削除されました。(労基法第64条の2)
 
平成11年4月からは、時間外労働、休日労働については男女9通の上限設定が労働大臣によってなされます。
 
この撤廃は、女性の職域を拡大する効果がありますが、反面、使用者から時間外労働を命じられる機会も増えることとなります。
 
そこで、育児や介護など家庭的責任を有する女性の場合は、急激な変化を緩和する為の措置が講じられます。具体的には、労働大臣が時間外労働の上限を決める際に、女性の場合には通常の労働者よりも低い基準を設けることができるとするものです。
 
【女性の深夜業】
 
同じく、女性の深夜業に関しても、一部の職務を除き深夜業は禁止されていましたが、平成11年4月より、この規定も撤廃されました。ただし、深夜業が認められるのは18歳以上に限られます。
 
しかし、この場合も、好むと好まざるにかかわらず、深夜業を命じられることになりますので、就業環境によってはセクハラや事件が起こることも想定しなければなりません。そのため、事業主はそういった危険を防止する為の必要な措置を講じなければならないとしています。(平成10年3月13日告示)
 
措置例:
・通勤や業務遂行時に関する安全の確保
(送迎バス、防犯灯、防犯ベルの貸与、職場で一人にしない、などの措置)
・養育や介護を要する家庭を持つ場合の配慮
・女性専用の仮眠室、休憩室の完備
・妊産婦の深夜業の禁止、健康診断の実施など
 
いずれにしても、女性の職域拡大は好ましいことではありますが、事業主はそれなりにコストがかかることを覚悟しなければなりません。

[041]妊産婦

 

ここで言う妊産婦は妊娠中の女性、または産後1年を経過しない女性をいいます。妊産婦に関する法的な記述は以下のとおりです。
 
男女雇用均等法第22条に「保健指導、または健康診査を受診する為に必要な時間を確保する為の措置」を事業主に義務化しています。
 
また、男女雇用均等法第23条には上記「指導を守ることができるようする為の措置」を事業主に義務化しています。
 
受診時間の確保については、妊産婦から請求された場合は、その勤務時間中に与えなければならないとするものです。これには医療機関への往復時間や待ち時間も含まれます。
 
受診時間に関して、無給とするか有給とするかは労使の話し合いで決めます。有給にしなくてはならない、と言うことはありません。
 
受診の為の回数は、妊娠23週まで 4週間に1回24週~35週 2週間に1回36週~出産まで1週間に1回産後      医師の指示によるこれはあくまでも目安であって、医師の指示により増加することもあります。
 
これに伴い、事業主は
 
1)妊娠中の通勤緩和措置(フレックスタイム、時差出勤など)
2)妊娠中の休憩に関する措置(休憩回数の増加、時間の延長など)
3)妊娠中・出産後の諸症状に対する措置(作業の変更、勤務時間の短縮など)
 
を講じなければならないとしています。
 
ところで、産休の無い会社ってのがあるようです。信じられませんが。産休は産前6週間産後8週間の14週間は法定です。つまり会社の都合に関係無く、使用者は産休をとらせなければなら無いことになっています。労働基準法第65条あたりにその記述があります。

[040]個人で闘う

 

リストラや雇用の打ち切りに対してどのように対処するかは難しい問題です。きちんとした労働組合があればいいですが、最近では派遣やパートなど組合に加入していない人が増えており、問題が起こっても事実上泣き寝入りになるケースが多くなっています。
 
労働省の報告によれば、各地の監督署(労働局)に持ち込まれた個別労使紛争は、昨年10月~今年3月の半年間で1万6466件。昨年と比べても2倍以上増えています。
 
労働条件に納得できない気の強い人は、監督署(労働局)や労政事務所に相談するわけですが、現行法では思うようにいかなかったりします。例えば個人で紛争処理を望んでも、現状では
 
(1)監督署(労働局)は違法行為の取り締まりが中心
(2)都道府県の労政事務所は相談・あっせんにとどまる
(3)裁判は資金も時間もかかる
(4)地労委は裁判より手軽な調停や仲裁機能を持つが、労組と企業の集団紛争のみ扱う権限しか与えられていない
 
このような現状を改善する為に、都道府県の地方労働委員会(地労委)に対しては、【労組だけでなく個人の個別紛争の調停や仲裁も担える権限を持たせる】ような制度改革案を、地労委の全国組織である全国労働委員会連絡協議会が自らまとめています。
 
また、このような動きとは別に、個別紛争の処理制度として、労働省が都道府県労働局を使う案を検討しています。
 
地労委が救世主となるか労働局が救世主となるかはまだわかりませんが、素早く動いて確実に対処ができる機関の登場が切に望まれます。
 
実際、監督署に色々聞いてみても最近回答の歯切れが悪いです。結局、会社の経営が成り立たないという切り札を持ってすれば、会社の言い分は大体通ってしまう。したがって労組もいいなりです。逆に個人の方が訴える力は強くなるかもしれませんね、これからは。

[039]労働組合の旗揚げ

 

労働組合をつくるというのは大変な仕事です。しかし、労働組合を作る行為は憲法でその自由を保障されていますし、健全な組合活動は労働者の働く意欲を増し、経営者にとってもプラスに働くものです。
 
組合を結成する目的が、ただ戦うだけのもので終わらせるなら最初からやらないほうがいいし、労働環境の改善が望めないような会社ならさっさと転職したほうがよいといえるでしょう。要は、「組合を作って何をするか」ということです。労使が話し合いの場所を持ち労使ともに意見を戦わせ、結果的に企業の繁栄をもたらすものでなければなりません。
 
労働者なら誰でも自由に労働組合をつくることができます。届け出る必要も、もちろん誰かに承認してもらう、というようなことも必要ありません。また、労働組合法も労働者が正当な組合活動を行ったことによって、使用者がその労働者に不利益になるような取り扱いをすることを禁じています。
 
しかしどうせ労働組合を作るなら労働組合法にのっとったものを作るほうが得策です。法の要件を満たした労働組合は法に基づいた労働争議が認められるからです。例えばストライキなどは組合法で認められた争議ですが、その前に法で認められた組合であることが前提となるからです。
 
おおっぴらに組合結成運動をしても構わないとはいえ、労働組合を作ることを快く受け入れる経営者は皆無といっていいのが現実。そこに組合作りのポイントがあるといえます。
 
労働組合結成に際しては準備委員会を極秘のうちに作って、組織を固めておく必要があります。委員会の役員は労働基準法等の労働関係法令に精通していなければなりません。これから経営者と渡り合うわけですからそれなりの覚悟が大事です。労働組合は法律で認められた組織ですから、どういう風に認められているかを熟知する必要があります。
 
そしてあらかた固まったところで、できれば経営者の理解を得ることも必要です。準備委員会がほぼ順調に進んでいればこれは不可能なことではありません。現在の労働基準法では、その実施に当っては労働組合があったほうが経営者にとっても都合のいいことがたくさんあります。勉強している経営者ならあっさりOKするでしょう。問題なのは勉強していない経営者です。勉強していないからこそ労働組合を結成されてしまうのでしょうけど。
 
まずは、所轄の労政事務所や大手労働組合に聞いてみることをオススメします。