[033]契約社員

 

契約社員とは、一定期間をその特殊な技術をもって雇い入れる社員のことをいいます。
パートタイマーやアルバイトの事を契約社員ということもあり、そのほかにも広く解釈して契約社員と総称することもあります。
 
いずれにしても労働法関係で問題になるのは、その契約が「委託契約」なのか?、それとも「労働契約」なのか?、ということです。
 
業務委託となれば民法上の請負契約(632条)や委任契約(643条)にあたり、その関係は使用者と雇用者の労働契約ではありませんから、労働法は適用されません。労働法は労働者を保護する法律ですから、その適用が受けられないということは現実に多くの問題が生じてしまいます。
 
そこで、契約如何にかかわらず、労働法が適用になるかどうかは実態をみて判断することになっています。つまり事業者が労働者に対して、これは委託契約だということで労働法から逃れようとしても、実態が雇用関係にあれば労働法を適用するという主旨です。
 
雇用契約か委託契約かを判断する基準は以下のようになっています。
 
・業務遂行にあたってその指示に対し拒否できるかどうか。
 (拒否できない=雇用契約)
 
・業務遂行にあたってこの内容および遂行方法に指揮命令があるかどうか。
 (命令がある=雇用契約)
 
・勤務場所および勤務時間の拘束があるかどうか。
 (拘束がある=雇用契約)
 
・労働を他のものが代行できるかどうか。
 (代行できない=雇用契約)
 
・報酬の基準は結果か時間か。
 (時間=雇用契約)
 
・欠勤した時に賃金が控除されるかどうか。
 (控除される=雇用契約)
 
・残業手当てがつくかどうか。
 
・報酬について源泉徴収されているかどうか。
 (源泉徴収される=雇用契約)
 
などが基準となります。

[032]嘱託(しょくたく)社員

 

嘱託社員とは、業務を委託された社員のことで、一種の契約社員です。
 
実際は以下のような意味に使われます。
 
医師や弁護士を嘱託とする場合 
定年退職後の社員を続けて嘱託とする場合
 
1.の場合は職務としての独立性が高く、職務執行について指揮命令を受けることが少ないので、このような場合は雇用契約ではなく請負契約とされ労働法の適用はされません。
 
2.の場合は、一旦退職して再就職しますから、自由な雇用関係を結ぶことができます。企業にとっては以前の年功序列の賃金体系を取らなくて良いですから経費の節減になるというメリットがあります。定年前と同じように指揮監督下に置かれますので労働法の適用になります。
 
定年後続けて雇用する嘱託社員の場合は以下のようになります。
 
・期間を置かず続けて勤務し、実質同じ職場、同じ職務内容の場合は延長して勤務しているとみなし、今までの勤続年数は考慮する。 
・同じ理由より、年次有給休暇残余分は繰り越すことができる。 
・年次有給休暇の算定の基準である労働日数については減少する場合が多いので新たな付与日数は当然以前とは異なる。 
・退職金は定年退職時にもらうことができる。(別段の取り決めが無い限り) 
・給与は定年前と同じ金額にする必要は無く、新たに自由に決めることができる。 
・社会保険については、被保険者資格の喪失と取得の手続を行ない、保険料は再雇用時の賃金を基準とする。
 
雇い主は、嘱託社員の健康上の理由による作業能率の低下や6ヶ月前の更新拒絶を条件に、雇用契約の更新を拒絶することができる。つまり、いつでも雇い止めができるということです。
 
高齢化社会により今後ますます嘱託社員の活躍が期待されます。60歳定年も区切りがあって良いと思いますが、その後の人生も生き生きとしたいですね。

[031]読者Q&A『タイムカード打ち忘れ』

 

■読者からの質問
 
 
タイムカードを打ち忘れたら、その日は欠勤扱いになっていました。就業規則を見たら確かにそう書いてあります。その日は確かに8時間働いたのですが賃金はもらえないのでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
まず、法律は「実際はどうなのか?」を重視します。この場合、実際には8時間働いたのですから、タイムカードの打ち忘れ如何にかかわらず、実際に労働した分については会社は賃金を支払わねばなりません。
 
「打ち忘れた場合は欠勤扱いにする」というように就業規則にあるならそのような規則は無効です。(ホントにそんなこと書いてる就業規則があるとしたらですが)
 
使用者(会社)は労働者の労働時間を把握する義務があります。打刻忘れを理由に欠勤扱いにすることは許されず、むしろ使用者の管理怠惰を問われることになります。タイムカードの打刻忘れが多いなら、それを防止する措置を講じなければなりません。
 
タイムレコーダーの打刻忘れを理由に欠勤として扱うことは許されませんが、それをたびたび繰り返す労働者に対して制裁措置を取ることは可能です。例えば何回繰り返した場合は減給処分にするとか。この場合も制裁に関する事項として就業規則に明記しなければなりません。
 
(この件につきアクションを起こすときは必ず監督署にご相談ください。)

[030]通勤手当

 

■読者からの質問
 
通勤手当を時間給に含んでも良いか?
 
■たまごやの回答
 
かまいません
 
その場合は便宜上あくまでも「通勤手当ては無い」ことにしておきます。通勤手当を含んでいると明記してしまうと内訳は?という問題に発展します。
 
通勤手当てについての取り決めがあるときは、就業規則に強制的に明記しなければならないので、話がややこしくなります。もし就業規則に通勤手当の取り決めがあるときは、時給に含めず分離したほうがトラブルを避けることが出来ます。
 
時給に含んだ場合は所得税が課税されるので、労働者としては通勤手当を別にしてもらったほうが節税になりますので、もし通勤手当を含むような労働条件の場合は別立てしてもらうように交渉しましょう。
 
ただし、通勤手当は法律上必ず支払うべきものではないので、そのへんを誤解なきようお願いします。(就業規則に取り決めが記載されている場合は法律上支払い義務が生じるので)
 
(この件につきアクションを起こすときは必ず監督署にご相談ください。)

[029]業務上の災害

 
■読者からの質問
 
サービス残業中に起こった事故や怪我に対しての治療費を会社は支払わなければならないか?
 
■たまごやの回答
 
労働基準法では、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない」(第75条第1項)と定めています。つまり業務上の災害で負傷した時はその費用を負担する義務があります。
 
この場合ですが、まずサービス残業が任意であるか強制であるかを判断します。
 
◎任意なら業務とはみなされません。
◎強制なら業務とみなされ、これはサービス残業ではなく「残業」として賃金を支払います。
(会社としては支払うことが必要です)
 
任意の場合は、労災保険がおりるかどうかの判断に任せますが、もしおりなかった場合は、会社は代わって負担する必要があるかどうかの問題になると思います。労災がおりなかった場合は、会社も負担する必要はありません。なぜなら、労災認定は、その傷病の原因が「業務上の災害」によるものであるかどうか、つまり、使用者責任があるかどうかをめぐって行われるからです。よって、会社は何ら負担義務は必要ないことになります。
 
このような考察から、労働者からすれば、任意のサービス残業は怪我しても会社は面倒見てくれませんからやるだけ損といえます。さっさと退社しましょう。
 
(この件につきアクションを起こすときは必ず監督署にご相談ください。)