[028]福利厚生の低下

 

前回では労働条件の不利益変更は労働基準法の法の精神に反するということを書きました。しかし労働者を取り巻く実情はますます厳しくなるばかりです。

 
以下は、とある新進企業の労働者(パートタイマー)から福利厚生の低下(会社にとっては単なる経費節減)が労働条件の不利益にあたるのではないか?ということで、抗議したいので、参考となる文書がないかという問い合わせに対し、私が作成したものです。厳密にいえば福利厚生の低下は労働条件ではないので、不利益には当たらないものであるし、金額的には不利益となるといってもたいしたことはないのですが、会社が簡単に規則を変える風潮にに釘をさす意味で抗議するとのことです。
 
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題名:福利厚生の低下について
 
先日従業員使用のユニフォームにつき、各自自分でクリーニング管理するように指示がありました。更にユニフォームを会社に置いてはいけない旨の指示もありました。これらについて異議を申したてます。
以前は会社でクリーニングをしていただき、本業を持つパート・アルバイトの従業員には便利に使わせていただいていました。ところがこれを自分で管理洗濯するとなると、労働時間外にその管理に時間を裂かなくてはならなくなります。これは他に学業や本業を持つパートアルバイトにとってかなりの負担になります。
またユニフォームを会社に置いてはいけないとなると、通勤通学途中に勤務につく場合は持ち歩かなければならないことになります。もし万一忘れたときは自宅まで戻らなければならず遠隔地にある時はその日の就業が難しくなります。また、突然の退職の時などはユニフォームの紛失や返却してもらえないなどの事故も有り得ます。更にいえることは各自自宅にて管理するとなるとユニフォーム自体の数が足りなくなる恐れがあり、今までより数量を多く準備しなくてはいけないことになり、かえってコスト高になるのではないでしょうか?
 
就業規則にはユニフォームの件に関しての記載はなく、労働者個人に負担させるものがあるときはその詳細を就業規則に明記する必要があります。また、このような【既得権を侵害する変更】は労働基準法の法の原則である「不利益変更」に当たります。
不利益変更自体は認められないものではないですが、【変更の必要性】の吟味や【労働組合との交渉協議】など実際に行われたのでしょうか?
またそれにも増して残念なのが、このように従業員に負担を大きくするような変更を会社が考えたという事実です。当社は優良な企業であり社会においても注目されている企業です。利益も出ています。そういう企業が従業員の福利厚生を低下させるようなことをやっていいのでしょうか?私は逆だと思います。無駄なコストは削減すべきですが従業員には投資すべきです。特に当社のように「人」でもっているような会社にとっては従業員は宝です。従業員の士気を低下させるような方針は好ましくないと考えますがいかがなものでしょうか?
以上のような事情を検討し、従前の管理方法に戻されることを強く希望いたします。この件に関しての回答は書面でお願いします。
 
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ポイント:
労働条件として「最初から自分で洗濯するとある」ならいい。問題なのは、今まで会社負担であったものが個人負担に「変更」された点について異議を申したてるもの。
 
 
 

[027]労働条件の不利益変更

 

理由も無く賃金が下がった
退職金規定が廃止になった
定年が60歳から55歳に引き下げられた
労働時間を短縮し社会保険から脱退させられた
通勤交通費のガソリン代支給額がキロあたり20円だったのが10円になった
ユニフォームが貸与されていたが不景気を理由に自前になった
50%引きだった食事割引が30%引きになった
 
以上は、いずれも労働条件の不利益変更にあたり、承諾する必要はありません。(現実には難しいと思いますが・・・)
 
これらはいずれも就業規則に記載されるべき事柄ですが、それらを変更する場合は労働者にとって不利益にならないようにする、というのが労働基準法の主旨です。つまり労働者が既得している権利は侵害してはいけないというものです。
 
では不利益変更が認められないのかというとそうではなく、認められるがそれは合理的な理由がなければならないとするものです。(最高裁判例:昭和43年12月25日)
 
合理的判断として最高裁が掲げるのは以下のとおりです。
 
変更によって被る従業員の不利益の程度
(不利益であっても軽微であれば問題ないとされるものです)
 
変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
(定年の引き下げがあっても、退職金で配慮されていれば問題ないとされるものです)
 
変更の経営上の必要性
(変更しなければ経営状態に重大な悪化を及ぼす場合など)
 
労働組合・労働者との交渉の経過
(変更にあたって労使交渉があったかどうかを重視しています)
 
企業の経費削減策として、これらは労働者にとって目前の問題となっています。納得できない労働条件の変更には応じない強い意思が必要です。
 
またここからは私見ですが、福利厚生費を削減するのはリストラにならないと私は声を大きくして言いたい。労働条件を圧迫すれば必ず士気が低下します。これからは人の能力がモノを言う時代です。労務費、福利厚生費を削減すれば必ずやめるやめないの問題に発展し、仕事どころではありません。電気ガス代を節約するのとはワケが違います。経営者はそこのところ間違えないように願ってやみません。
 
 

[026]セクシャルハラスメント

平成11年4月1日施行の改正男女雇用機会均等法では、セクシャルハラスメント(=性的いやがらせ以下セクハラ)防止のために、企業に配慮義務を課しました。これにより事業主は雇用管理上、セクハラが起こらないように配慮しなければなりません。

セクハラは以下2種類のものに分けられます。

1)対価型セクシャルハラスメント

職場で発せられる性的な言動に対して女性(男性)労働者が示した反応により女性(男性)労働者が労働条件で不利益を受けるもの。

例:上司から性的な勧誘を受けたがそれを断ったため給料を減らされた。

2)環境型セクシャルハラスメント

性的な言動により就業環境が害されるもの。

例:事業所内にヌードカレンダー貼ったりやヌード写真入りの雑誌を放置する。  性的な経験を尋ねたり、性的な内容の情報を流したりする。

セクハラは言動を受けた人の主観によることが多く、言動を発した人は気づいていないことが多いので特に注意を要します。例えば「子供はまだ?」とか「結婚しないの?」とか「きれいだね」と言う軽い言葉でさえ言われた本人が「いやだな」と思った時点でセクハラになります。これは女性に対してだけでなく男性に対してもセクハラになります。

言動を起こしている当人は気がついていない場合も多く、気がついた時には大問題となっていて解雇されるなど、加害者の方も深刻な問題となるだけに、事業所としてはは問題が大きくなる前あるいは未然に防ぐよう事業所内に苦情処理のための担当者を設置するなどの配慮が必要です。担当官は相談しやすいように総務などに所属する女性社員が望ましいでしょう。

セクハラにあっていて社内に相談することができない場合は、労働局の女性少年室に相談されると良いでしょう。

[025]男女雇用機会均等法

 

企業は労働者を募集するに当たって、女性に対する差別をしてはいけないというもの ですが、平成11年の4月より、それまでの努力規定であったのが禁止規定に変わりま した。男女ともに均等な機会を与えなければならないことになります。
 
また、今まではどちらかと言うと女性に対する差別を無くすためということでしたが 法の主旨としては男女ともに差別をしてはならないというものです。
 
具体的には以下のような募集が違反となります。
 
・男性のみを募集する。あるいは女性のみを募集する
・女性についてのみ条件をつける。(自宅通勤者のみ、等)
・女性歓迎、女性優遇などと表示する
・合格基準に男女の差をつける
・採用枠に男女の差を設ける(男子○○名、女子○○名募集、等)
・看護婦募集(看護士募集としなければなりません)
 
総合職のような基幹的な業務に対する募集についても、結婚、出産、育児を理由に女 性を排除するような条件を付与することは違反となります。
違反した企業には、助言・指導・勧告を行い、それに従わない時は企業名を公表する などの措置がとられます。
 
尚、明るいニュースとして、助産婦の資格については今まで女性のみにしか認められ ていませんでしたが、これからは男性も取得できるようになるということです。いずれ「助産士募集!」なんて広告が見られるようになるでしょう。

[024]障害者の雇用

 

常用している労働者が53人以上の一般企業の場合、その1.8%は障害者の雇用が義 務付けられています。障害者とは、身体障害者のみならず知的障害者をいいます。
 
【特定求職者雇用開発助成金】
 
障害者を雇用した時は、その障害者に支払われた賃金の4分の1(中小企業は3分の1)を助成金によってまかなうことができます。この助成金は、指定された公共機関 で紹介されたものに限りますが、用件を満たせば助成金が受けられるので該当する企 業は大いに利用したいものです。
障害者の労働条件は、一般の場合と特に変わることはありません。もちろん労働基準 法をはじめ関連法もそのまま適用になります。ただし、労働者の障害の程度によって は労働時間や、休憩時間に特別な配慮が必要な時もあります。このような時は労働者 は使用者に配慮を求めることができます。
 
【最低賃金法の適用除外】
 
賃金についても、法的な最低賃金は守られますが、特に能力が劣る場合は、労働基準 局長の許可を得て、最低賃金法の適用除外を求めることも出来ます。その場合は、労 働基準局長が決定した賃金を支払うことになります。
 
【解雇】
 
解雇についても、法的に一般労働者と同じですが、障害者は一旦解雇されると、再就 職は一般の労働者より厳しいものとなります。そこでやむを得ず障害者を解雇したと きは、障害者の再就職のために、公共職業安定所に解雇の詳細を記載した届出書を提出することになっています。