[048]パートタイマー

 

パートタイマーとは一体なんでしょう?
 
パートタイマーは法律上きっちり定義されています。パートタイマーとは短時間労働者のことをいいますが、それは
 
「一週間の所定労働時間が同一の事業所に適用される通常の労働者(正社員)の一週間の所定労働時間に比べ短い労働者」
 
とされます。(パート労働法2条)
 
つまり、事業所によっては、正社員や契約社員と同じ時間働く場合がありますが、その場合は法律的にパート労働者にはならないということです。例えば1日8時間労働週5日契約(週契約40時間)など。
 
逆に、契約社員であっても、1日の労働時間が正社員より1時間短く、週労働時間も正社員より少ない場合は、名前は契約社員であっても、法律的にはパートタイマーとみなされます。要するに雇用名称にかかわらず実体はどうか?で法律は判断し、パートであると判断されたなら、パート労働法により保護されることになります。
 
パートタイマーであっても、労働関係法令は正社員と同じように保護するようになっています。ですから、パートだからと言って悲観することも泣き寝入りすることもありません。年次有給休暇もありますし、法定労働時間を超えて働けば割増残業手当は出ますし、簡単に解雇もできません。
 
パートで働いている方がいらしたら、職場に就業規則があるかどうか確認してみてください。就業規則はいつでも閲覧できるようになっていなければなりません。正社員の就業規則はあっても、パートの就業規則は整備されていないことが多いのです。
 
もし、就業規則がない場合は、大急ぎで作ってもらったほうが良いでしょう。就業規則がない場合は、雇入通知書(雇用契約書)を必ずもらってください。ここには最低必要な、時給額、勤務地、勤務時間などが記されています。労働条件の一方的な変更があった場合、有力な対抗手段となります。

[047]正社員

 

正社員とは一体なんでしょう?
 
企業のリストラが続き、経費節減のため社員の大幅な削減がされています。正社員を解雇し、新たに雇い入れる社員を正社員ではなく、契約社員とする例が増えています。これは契約社員なら、いつでも解雇できるという考えによるものですが、いつでも解雇できるというのはちょっとあたらないですし、熟練した正社員を除外し、流動的な契約社員で固めるというのはどんなものでしょう?
 
私見ですが、年功序列によって生じる愛社精神というのも十分武器になると思っています。どんな人間だって使いようです。社員が無能なのではなく、育てなかった経営陣が無能なのです。ま、少数意見でしょうけど。
 
さて、正社員とは、「期間の定めの無い雇用契約」を締結した社員です。そんな契約してないぞ、といっても正社員はそういう契約になっているのです。逆に、パートや契約社員は、期間を定めなければならないですから、必ず契約書があります。
 
正社員は期間の定めが無いですから、正当な理由無く解雇はできませんし、黙って定年まで勤めることができる、大変優遇された契約です。ですから、こういう契約にあぐらをかいてしまい、ロクデモナイ正社員がまかり通っていました。ここにきてリストラで慌てている人は今まであぐらをかいていたことに反省すべきです。本当に必要とされているなら、リストラでもなんのその、解雇などされないはずです。
 
正社員はパート・契約社員より解雇されにくいか?
 
正社員は会社の経営悪化防止を理由に解雇はできません。しかし、それに比べるとパートや契約社員が解雇されやすいということは判例でも明らかで、昭和61年最高裁の判例では、正社員とパート・契約社員を解雇理由の合理的差異を認めています。
 
この合理的差異は社員の労働条件を定める就業規則を、地位、身分、業務等に応じて別々に定めることを認める判例にもつながります。
 
いずれにしても、正社員が減り、パート・契約社員が増えていくのは時代の流れで止めることはできません。人材が流動的になることは良い面もあるし、悪い面もあります。これからは雇用形態にかかわらず、自分のスキルを高めておき、どんな状況になっても必要とされる人材として磨きをかけておく必要があるといえますね。

[046]セクハラと紛争

 

均等法21条により、企業にはセクハラが起こらないように配慮する義務があるわけですが、不幸にも実際にセクハラが起こり、それに対処する段になった場合は更に配慮が必要になります。
 
セクハラに抗議すると言うことは、下手すると企業を相手取ることになりますが、この場合、企業は解雇という手段に訴えてはいけないのは言うまでもありません。これは解雇権の濫用に当たります。セクハラを受けそれを訴えたら今度は解雇された、とあっては踏んだり蹴ったりです。法はこの点を厳しく取り締まっています。
 
またセクハラを解決する意味で、当事者同士に退職を勧告するようなことは認められませんが、セクハラが解決したとしても、当事者を含む職場の雰囲気を是正する意味での配置転換は認められるとされます。この場合でも当事者に説明し同意を得ることが必要です。
 
均等法や労働基準法は、不当な扱いを受けた場合に、その大いなる味方となってくれますが、訴えられるあるいは抗議される企業はどちらかというと面白くないものです。
 
そのために、その抗議あるいは訴えられることに対する報復素措置を講ずることが多いのですが、そうなると女性労働者はなかなか辛いものがあります。そういったトラブル解決の糸口として、均等法は授業主または女性労働者いずれかが援助を申し出た場合は、都道府県の女性少年室長は両当事者に対し、必要な助言・勧告・指導ができると定められました。(第12条一項)
 
さらに、こう言った女性少年室長が勧告した後にも、またそのことに対して不当に扱うようなことがある場合は、それを禁じる項目が続けて設けられています。(同第二項)これは何を意味するかというと、いかに企業がこう言った女性労働者からの抗議を嫌い、また蓋をしたがるかの現われと見ることができます。
 
勧告や指導を受けても改善されない場合はどうするか?
 
均等法の改正により、今は紛争解決の調停をどちらか一方の同意により行えるようになりました。(今までは企業労働者両方の同意が必要でした。)調停は機会均等調停委員会が行いますが、実際にここまできて紛争を解決しようとした人はいるのでしょうか?私はそういう例は知りませんが、長い道のりであることには間違いありません。実例をご存知の方はご一報ください。
 
なお、この調停はセクハラだけでなく、女性労働者と事業主の紛争全般にわたって行うことができます。つまり、女性にとって解決の場が近くなったということですが、実体は定かではありません。多いに利用して、実績を積み重ねていくことが大事だと思います。

[045]企業とセクハラ

 

~43号からの続きです~
 
均等法21条では企業にセクハラが起こらないように配慮する義務を負わせています。しかし、実際にセクハラが起こってしまった場合は、この配慮義務違反をもって訴えることはできないのが現状です。つまり、配慮はした。けれどセクハラは起こった。と逃げられるからです。
 
セクハラが起こった時に企業に問える責任は、民法上の「不法行為責任」と債務不履行責任」となります。
 
不法行為責任は、被用者(社員)が事業の執行(仕事上)につき、他人(別の女子社員)に損害(セクハラ)を与えた場合に使用者(会社)に責任が生じるものです。
 
債務不履行責任は、セクハラが社外で行われた(例えば得意先のお偉いさんに胸を触られたような場合)ときは、使用者責任は問えないので、そのような場合は雇用契約上の債務不履行とする考え方です。
 
いずれにしても、セクハラは予防することが大事であって、起きてから対処するようでは遅すぎると言えましょう。セクハラは被害者も加害者も精神的に大変な負担を負うことを忘れてはなりません。
 
いやーウチはセクハラ相談所を設けたけど、全く相談がない。つまりウチにはセクハラなんてないんだな、はっはっはー。
 
なんて安心してはいないでしょうか?それは相談がないのではなく、相談するような雰囲気になっていないのです。まさか事務所の一角に「セクハラ相談所」なんて看板掲げてないでしょうねぇ。そんな相談所誰も行きません。そんな部屋に足を踏み入れただけで噂になってしまいます。
 
セクハラ防止先進企業の資生堂では、セクハラの相談員を社外から招いたり、相談所を見た目にはわからないようにしたり、また部屋を時々変えるなど、相談しやすさという点に格別の配慮をしています。
 
相談が全くなかったら、もしや相談しにくいのでは?と自社のシステムを疑ってみることも必要です。

[044]管理職

 

【管理職とは、管理しているようでじつは管理されている悲しい職務従事者のことである】
 
前号で、読者からのお便りに、会社から「管理職」にさせられ、実質減給になったという話がありました。そこで今日は管理職と残業について少し書きたいと思います。
 
【管理監督者には残業は付かない】
 
労働基準法は第41条で、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の事業に従事する者」は労働時間、休憩、休日の規定から除外されています。つまり法定労働時間8時間というのは管理監督者には当てはまらないとされますので、当然残業もつきません。
 
【管理監督者とは?】
 
そこで、じゃあ管理監督者とは何だ?ということになります。管理監督者と言うのは、労働時間、休憩、休日の規定を超える活動を要求される職務についている人をいいます。現場での現場監督、飲食店の店長、営業所長など、通常の勤務規定ではその活動がそぐわない人たちです。だからこそ法では除外しているのです。
 
【管理職=管理監督者ではない】
 
管理監督者と言うのは、会社がそういうポストを用意するのではなく、客観的に決められるものです。したがって、一概に管理職=管理監督者とはならないので注意を要します。逆に管理監督者が管理職ということは有り得ます。
 
【客観的管理監督者の要件】
 
管理監督者と言うのは現場の責任者ですから、残業はつかない代わりにそれに見合う分以上のものを給与としてもらっていなければ、管理監督者とは言えません。また、休日や休憩も忙しい時にはとれませんから、その分も給与に上乗せされて当然です。
 
また管理監督者は経営者の分身ですから、労働者と言うより経営者としての立場にたっているかどうか、自己の勤務について自由裁量の権限があるかどうかなどの実態に則して客観的基準に基づいて判断されるものです。上記のように賃金面でも優待されていなければなりません。つまり、【管理職】の全てを自動的に労働時間等の規定の適用除外とすることはできないわけです。
 
【管理監督者は労働時間無制限か】
 
労働基準法第41条により、管理監督者に対しては時間外労働に対する割増賃金の支払い義務はありません。しかし、深夜業の規定については、適用が除外されていません(昭63.3.14基発第150号)
 
しかし、深夜割増やその他の諸手当が、基本となる給与に含まれることが書面などで明らかな場合は支払う必要はありません。
 
なお、管理監督者であるから労働時間を計算しなくてもいいかというと、そんなことはなく、日々の出勤状態や労働状況を記録する必要はあります。