[85]交際費(10)交際費うっかりあれこれ
1.実際には社長個人の衣服代、靴代なのにそれを相手への贈答とする場合。これは個人経費のつけ込みといいますが、このような物品の領収書があったとしても税務当局は信用しません。このような物品はサイズや好みなどがあり、それに今どきそのような物品を贈ることは稀です。そういった贈答の場合は商品券を贈るのが普通だからです。
2.飲食費の不正で伝統的なものは白紙の領収書です。白紙の領収書とは金額欄が未記入になっているもので、自分で金額を水増しして書き入れ、経費の水増しや架空経費を計上する手口です。地方公務員の官官接待でよく使われる手口でよく新聞をにぎわしていますが、これが発覚すると大変なことになります。絶対にしてはいけません。もっとも白紙の領収書を出すところも少なくなってきています。
3.交際費の計上で一番間違いが多いのが、交際費なのに福利厚生費として処理してしまうことです。福利厚生費は社員全員を対象とするものです。一部の社員のみ対称にするものはまず交際費として処理することです。
4.旅費交通費の中で間違えやすいのが、ハイヤー代です。得意先を料亭までお届けするハイヤー代やゴルフのハイヤー代は接待のための費用ですから交際費となります。「ハイヤー代」の名目を「タクシー代」としても同じことです。
5.新築祝いなどに得意先を招待して接待した場合、その費用は交際費となります。この場合得意先から祝い金が来るのが普通ですが、その祝い金差し引いて交際費とする場合がありますが、この場合は総額で交際費としなければなりません。
たとえば、新築祝い接待で100万円の支出があったとします。得意先からのお祝い金を合計したら60万円あったので、差し引いて40万円を交際費とするケースです。この場合の正しい処理は、交際費計上額100万円。受け取り祝い金60万円は雑収入として計上します。
6.宴会費としての明細を会場費、または宿泊費としてもらう手口。ホテルに明細書の但し書きを頼めば可能ですが、取引先を呼ぶのなら、ではなんで宿泊費と会場費があって宴会費がないの、と逆に疑われることになります。税務当局の担当員はプロです。こういったことなど簡単に見抜かれると思ったほうがいいでしょう。