tax[167]領収書とは?
領収書とは金銭を受け取ったことを証明する証書です。売買の際に「お金を払った」、「いやまだもらってない」などの紛争を避けるために、実際にお金の授受があったことの証拠書類となるものです。領収書は金銭授受の覚書ですから、後のトラブルを避ける意味でも極力努めて発行したいものです。
領収書は必ず発行しなければならないか、というとそんなことはありません。領収書は金銭授受のたびに必ず発行しなければならないものではないのです。したがって街の商店で買い物をしたときに、お釣りのみをもらってそれでおしまい、という売買でも法的にはなんら問題ありません。
しかしお金を払った人が「領収書をください」と請求した場合には、今度は領収書を発行しなければならないという法的な義務が生じます。つまり、領収書は請求することができるし、請求されたら発行しなければならない類の書類なのです。
条文:民法第四八六条
弁済者ハ弁済受領者ニ対シテ受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
この条文をそのまま解釈すれば、全ての弁済者は全ての弁済受領者に対して領収書を請求できるとしています。ということは、売買を業としていない人に対してもお金を払ったら領収書を請求できるし、請求された側は領収書を発行しなければならないということです。
3万円以上の領収書には印紙を貼りますが、これは商売をしている人のみに義務となります。業としていない人は3万円以上であっても印紙は不要です。しかし領収書の発行は、請求されたら誰でも発行しなければならないということになります。領収書は必要であれば堂々と請求すべきであり、また応じるべきであるといえましょう。
法的には特に定められていませんが領収書には記載すべき事項があります。最低限次の事項は確認しましょう。領収書という題目、金額と日付、発行者の住所、氏名押印、相手方の氏名、金銭授受の但し書。
記載の際注意することは、金額の数字を容易に書き換えることができないようにするために、縦書きの場合は「壱、弐、参、拾」という漢数字を用います。横書きの場合には、金額の頭部分に「金」または「¥」を用い、金額の最後に「円」を用い三桁ごとにコンマで区切るようにします。
なお「領収書を紛失したので再発行してほしい」という場合がありますが、この場合は応じる義務はありません。民法における発行義務は一度でいいのです。しかし現実問題として本当に紛失してしまった場合は困っているわけですから、その場合は好意的に再発行しても差し支えありません。
再発行に応じる場合には「再発行」という表示を必ず領収書に入れ、日付も再発行日とします。あくまでも二重に領収書を発行したような扱いにならないようにする必要があります。
なお、印紙についての補足ですが、医療機関の領収書は非課税扱いとなるため、金額の多少にかかわらず印紙は貼付されていません。
2005.01.10