[084]誕生日を祝う

日本には毎年の誕生日を祝う習慣はありませんでした。日本は長い間年齢は「数え年」で数えてきました。数え年はお正月に皆一斉に年をとります。これはこれですばらしい文化だとは思うのですが、世情と法律により満年齢がこれにとって代わります。以来数え年はなりを潜め、満年齢による各人の誕生日を祝うようになったのです。(昭和25年1月1日施行の『年齢のとなえ方に関する法律』)

毎年の誕生日を祝う風習は、欧米から入ってきたものです。いまでは誕生日は各人にとても年間で一番大きなイベントとして欠かせないものになっているとと思います。家族が4人いれば、年に4回はイベントがあります。普段忙しく、顔も合わせることの無い家族でも、このイベントは大事にしたいものです。

最近ではレストランなどで誕生日を告知すると従業員が祝ってくれるところも多いです。スペシャルなメニューをサービスするところもあります。従業員が大きな声でハッピバースデーと歌ってくれるのはなんとなく気恥ずかしいものですが、嬉しくないわけありません。

ただ、店側としてはなかなか大変なようで、この歌を歌うのが嫌でやめて行く社員もいるとか。生真面目な日本人には肌が合わないのでしょうか。ちなみにアメリカあたりのレストランはウェイトレスやウェイターが結構笑かしてくれたりします。欧米では食はエンターテイメントとしますが、これもまた文化の違いでしょうか。

さて、日本では数え年で祝う風習があったわけですが、生まれて始めての誕生日「初誕生」は盛大に祝う習慣がありました。昔のことですから乳幼児の死亡率が高かったのでしょう。無事に出生1年を迎えるというのは喜びもひとしおであったに違いありません。

初誕生は「もち誕生」ともいい、必ず餅をついて祝います。赤ちゃんにその餅を背負わせ歩かせる行事も地方では見られます。このときにわざと転ばせたり、すねや尻に餅をぶつけたりします。これは、餅を背負って歩くも、上手く歩きすぎると遠くに行ってしまうといわれ、これを嫌うためです。いずれにしても子が丈夫に育つことを祝う風習です。

最近では子供の誕生パーティをすることも多いと思います。特に幼稚園から小学校低学年の頃は友達を数人家に招いてパーティーを行なうことが多くなり、これが逆に多くなり過ぎると頭の痛い問題となります。一年中誕生会だらけ。

子供同士のコミュニケーションには有意義ですがあまり大げさに成らないように気をつけたいものです。あくまで子供の自主性に任せ、親はそれを手助けするくらいにとどめます。お料理も簡単なものにし、時間も2時間位で切り上げるようにしましょう。贈り物をするなら金額を決め子供の小遣いで買える範囲とします。手作りのプレゼントなどもいいと思います。

誕生会のお料理は平日マックなど安上がりで済みますが、オーソドックスにカレーやサンドイッチなど嬉しいものです。私の古い記憶をたどれば、カレーというのは家ごとに微妙に味が違って、子供心に楽しみだったことを思い出します。