[083]外見で人を判断する
小学生の殺傷事件という痛ましい事件が起こってしまいましたが、現場の先生方も大変だったでしょう。校長先生がテレビでしきりに謝っていましたが、よく考えたら校長先生は悪くないですよね。学内の総責任者ではありますがこれは不可抗力、落ち度は無いでしょう。けれども謝ってしまうのはいかにも日本人です。これがアメリカだと大変です。
「校長先生は謝った。つまり落ち度を認めた。それなら損害を賠償しろ」
こうなってしまいます。そろそろ日本人も良い悪いの判断を客観的にし、悪くないのなら謝らない、という意識が必要ではないかと思います。
さて、話は幕張にできたフランスのスーパー「カルフール」に飛びます。日本ではなかなかフランスの企業が定着しないのですが、このカルフールも最初はエライ苦労したようです。なんせ、レジに列ができてお客は40分も待たされたとか。それじゃお客さん逃げちゃいますよ。
そんなこんなで店長交代。生死をかけてイメージ挽回したというなので、様子を見に行ったわけです。うん。結構楽しい店でした。フランスの輸入品も多くあってカルフールならではの買い物ができたと思います。
店内で私が気に入ったのは商品ではなく、店員です。特にレジ場に待機して、客をさばいているお兄さんがカッコイイ。茶パツで耳ピアス、赤いTシャツにローラースケートを履いています。
なんでローラースケートなのかというと、レジで価格がわからない商品があると、それをもって売り場まで価格を確かめにいくのです。客の間を疾風のように駆け抜けていく。この一見不良風の店員がカルフールのイメージを高めていることは否めない事実です。外見で人は判断できません。
さて、ここで話は息子が行っている某私立高校の校則に飛びます。この学校は受験校でしかも私立のため、教育コンセプトが私好みにきっちり決まっていてその点は高く評価できます。受験校は受験に命をかける、これはまったく正しい。ところが校則がとんでもなくヘボい。
いまどき、髪の長さがどうだとか、スカート丈がどうだとか、まるで江戸時代。ちなみに私が行っていた高校はもう30年も昔ですが、校則は廃止されてました。というか全て自由でしたね。単位さえ落とさなければいいという、これまた至極理にかなっている。
それでも高校時代は、ある程度の我慢を覚えるところだと思いますので、理不尽な校則であっても、とりあえず守るということは大事だと思います。
ですが、賛同できないことが一点あります。それは今の若者のファッションを指して「服装の乱れは心を乱す」ということです。
心の乱れは服装に表れやすいかもしれません。渋谷や新宿で徘徊する怪しい若者は確かに服装が乱れているといえます。しかし、その逆、服装が乱れているからといって、即、心の乱れとはならないはずです。ましてや、多くの大人たちは若者のファッションを理解していない場合が多い。彼ら流にくくるならミニスカートの女性はみんな心が乱れているということになってしまいます。
多くの大人がそういう風に思うのは一向に構いませんが、それを校則とし、生徒に押し付けるのはいかがなものでしょうか。これを教育と称すならば、まさしく「外見で人を判断しろ」と言っているようなものです。
厳しい校則に命をかけて生活指導する教員の皆さんは一度カルフールに行ってみるといいでしょう。そして、外見で人を判断するような教育方針は直ちに破棄して欲しいと思います。
もっとも、一番辟易しているのはそんなヘボイ校則で指導しなければならない、現場の先生方かもしれません。