第17回-よしさんの歩行

2018年8月26日

こんばんは、稲垣尚美です。夏休み、どこへ旅行に行こうか思案中です。旅行、大好き。

さて先週、リハビリの話題を出しました。今週も引き続き、リハビリの話題です。

よしさんは、月の半分以上は、ショートステイで施設を利用されていました。ずいぶん私とも仲よくなり、「秋のお祭りには、ぜひ家にきてね。美味しいお寿司をつくるから」と、言ってくれました。

腰に痛みがあり、一日のうちのほとんどが、ベットに横になっていました。移動は、車椅子です。でも、ベットから車椅子に移乗してもらう時にかなりしっかり立位がとれるのでもしかすると訓練によっては、歩く可能性もあるのではないかと感じていました。しかし、ショートステイの期間中に何かあっては、ご家族に申し訳ないし、リハビリの先生もショートステイの方まで手は、まわりません。

よしさんは、本入所の申請を出されていて順番が、やってきて本入所になることになりました。本入所になって家に帰ることがなくなったよしさんからは、お祭りのお誘いの言葉が出なくなりました。寂しそうに外を見ているよしさんに「ちょっと歩いてみようか」と声をかけると、うれしそうに「やってみる」とたのもしい返事。少しでも施設の生活にとけ込もうとしていたのかもしれません。

リハビリの先生にみてもらうと歩くのに支障は、なさそうです。歩行器をもってきて立ってもらう。簡単に立つことが、できました。歩行器を前へすすめると、よしさんも一緒に出てきてくれます。足が、上手に右、左と出てきます。これならいけそうかなって感じです。もっともっとと歩いてもらうと施設の廊下を一周できました。よしさんは、疲れた様子もみせずに満面の笑顔。

どこでよしさんの歩行を取り入れていくかを考えてトイレまで歩いてもらおうと決めました。

順調によしさんの歩行も安定してきたころ、夜間、よしさんが、ベットから落ちるということがありました。トイレへ行きたくなり、自分でベット柵をはずして下におりようとしたようです。今までトイレへは、必ず職員が、つきそっていました。それをよしさんは、1人で行こうとしたのです。一つのリハビリの成果と考えていいでしょう。

ただその転落がもとで、よしさんは、また腰を痛めてしまいました。幸い、骨折はありませんでしたが、腰の痛みは2週間、3週間と続き、ベットから離れようとしなくなり、歩行訓練も中断したままでした。

職員、みんな心配して「よしさん、歩こうよ」と各々、声をかけていきました。

今は、たまに調子のいい時に歩行訓練をさせてくれます。でも、以前のようにすたすたっていう感じには、戻っていません。もう少し、時間がかかりそうです。

リハビリをして本人の意欲を育てるのは、とてもいいことだけど同時にリスク(危険性)も発生しているんだと、つくづく感じてしまいます。

2002.06.25