第26回-実習生と差し入れ
こんばんは、稲垣尚美です。この間のメルマガで親のお金で実習に来てる子は・・・・と書いてしまいましたが、訂正させていただきます。熱心な人もちゃんといらっしゃいます。
3日ほど前から福祉大学の生徒さんが、社会福祉士の受験資格の為に実習に来ていました。私は最初の2日間ついて教えていましたが、彼女の老人に対する声かけが、とても上手なのです。普通、最初のうちいろいろと声をかけて結局、反応をしてくれる老人のそばについてしまうのですが、彼女はちがいました。反応の有る無しに係わらず、どの人にも同じように丁寧な言葉で声かけをしていくのです。
老人ホームでの実習は、初めてだと聞いていただけに驚いてしまいました。「声かけが、上手だね」と彼女に言うと「バイトで老人に接しているので」とのこと。何のバイトかと尋ねると「接骨院で助手をしてます。老人が、多いんです」なるほど、だから分け隔てなく接することができるんだと納得。
話は、かわってメルマガの読者からの質問で>職員の方に差し入れをしたいのですが、どんなものが喜ばれますか?というものが、ありました。
面会に来ていただけるだけで充分です。手土産のあるなしで入居者の扱いがかわることなんてもちろんありません。
でも、一つ印象に残っていることをお話しますね。もう亡くなってしまいましたが、Sさんの面会にいらっしゃるご家族が、いつも「マネケン」という店のベルギーワッフルを持ってみえました。そのご家族は、何ヶ月かに一度という面会でしたが、いつもその店のベルギーワッフルでした。「マネケン」という店は、うちの施設の近くにはありません。Sさんのご家族がこちらへ来られる途中にあるのでしょう。そんなに面会は、多いという方ではありませんが、休憩室に「マネケン」のベルギーワッフルが置いてあると職員は、みんな「Sさんのご家族、みえたんだね」と話しながら、ワッフルをいただきました。手土産と言われるとそのインパクトが、とても強いです。Sさんが亡くなって何年も経ちますが、そこの店の前を通るとSさんのこと、そしてそのご家族のことを思い出します。
ちなみに現在、うちの施設では、「職員皆さんでどうぞ」と差し入れられたおやつでも、入所者が食べることができるものは入所者のおやつにまわっていきます。
措置の時代では、おやつ代も含めて措置費用として国から、お金がきていましたが、介護保険になった現在、おやつ代を別に徴収しなければいけなくなりました。それでは、入所者の負担が大きくなるんじゃないかということでご家族から差し入れられたものは、ほとんど入所者のおやつになっています。
2002.09.13